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「被害」と「処分」のバランスは?
後藤浩輝騎手の再びの落馬に思う。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/05/02 10:40
フェイスブックではコルセット姿の写真とともに「後藤浩輝、ちゃんと生きてます。皆さんご心配とご迷惑をかけてしまい本当にごめんなさい」と綴られていた。
4月27日、日曜日の東京第10レースで、ジャングルハヤテに騎乗していた後藤浩輝が走行妨害を受けて落馬負傷した。
アクシデントが発生したのは最後の直線だった。前を走っていた岩田康誠騎乗のリラコサージュが外側に斜行した。その後ろ脚に後藤のジャングルハヤテの前脚がさらわれ、転倒。コースに叩きつけられ、しばらく動けなくなった後藤は病院に搬送され、第5、6頸椎棘突起骨折と診断された。
後藤は、2年前のNHKマイルカップでシゲルスダチに騎乗したときも、岩田が乗った馬の走行妨害を受けて落馬し、頸椎のひびと頸髄不全損傷を負い4カ月休養した。同年9月に復帰するも、その日のレースで馬場入りのさいに落馬し、第1、2頸椎と頭蓋骨を骨折。1年以上の療養とリハビリを経て、昨年10月に復帰したばかりだった。
骨折そのものの状態は2年前より軽いというが……。
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今回の走行妨害により、岩田は5月3日から11日まで9日間(開催4日間)の騎乗停止となった。このため、天皇賞・春で乗る予定だったウインバリアシオン、NHKマイルカップで騎乗を予定していたロサギガンティアはほかの騎手に乗り替わりになる。後藤がNHKマイルで乗る予定だったショウナンアチーヴも同様だ。
と、ここまで主観を入れず、事実だけを淡々とつづったつもりだが、ちゃんとそうなっているだろうか。
落馬事故の翌日、編集部からこの件に関して原稿を依頼されたときは、少し待ってほしいと言った。
後藤の怪我の状態が気になったからだ。彼が、また元気に復帰を目指す状態になったことがはっきりしたら書くが、そうでない場合は普通の気持ちで書くことはできないと思った。
今、こうして書いているということは、つまり、後藤が復帰を目指せる状態にある、ということだ。骨折そのものの程度は2年前より軽く、歩くこともできるという。まだ腕にしびれがあり、力が入らない状態だというが、それでも本当によかった。つくづくそう思うほどの激しい落馬だった。
骨折は全治3カ月ほどで、握力などの回復も待たねばならないので、復帰は秋以降になる見込みだ。