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入江陵介、渡部香生子が完全復活!
“中間年”がリオ五輪へとつながる。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2014/04/28 10:30

入江陵介、渡部香生子が完全復活!“中間年”がリオ五輪へとつながる。<Number Web> photograph by AFLO

ロンドンでメダルを獲得した時を上回るタイムで100m背泳ぎの優勝を果たした入江陵介。200m背泳ぎの8連覇はもちろん史上初だ。

日本選手権では、好タイムで8連覇を達成。

 そして臨んだ日本選手権、最初の種目は4月11日の100m。

 迎えた決勝、25m手前あたりでトップに立つと、その後も加速し譲らずにゴール。52秒57。ロンドン五輪で銅メダルを得たときのタイムを0秒4上回る好タイムだった。

 最終日13日の200mでも強さを見せつける。150mまで日本記録を上回るペース。最後の50mこそ隣の萩野の追い上げに、「焦りも出て空回りしました」と伸びなかったが、1分53秒91とやはり好タイムで優勝。この種目の8連覇を達成した入江は、大会を振り返りつつ、終始、笑顔だった。1年前にはない表情だった。

不振が続いた渡部香生子も新記録で優勝を果たした。

 もう一人、昨年とは対照的な表情の選手がいた。渡部香生子だ。

 ロンドン五輪に競泳日本代表選手中最年少の15歳、高校1年生で出場するなど注目を集めてきた。だが、昨年の日本選手権は100m平泳ぎで2位、200m個人メドレーは優勝したものの派遣標準記録を下回り、200m平泳ぎでは決勝に残れない泳ぎで涙を流した。先々への期待も込めて世界選手権代表には選ばれたが、大会では200m個人メドレー11位、100m平泳ぎは予選全体の27位にとどまるなど、辛い時期が続いた。

 迎えた日本選手権。10日、100m平泳ぎで、同種目のロンドン五輪銅メダリストである鈴木聡美を抑えて初優勝を遂げる。タイムの1分06秒53は高校新記録、中学3年以来となる自己ベストでもあった。12日には200m個人メドレーを2分11秒04で制する。そして最終日の200m平泳ぎでも日本記録まであとわずかに迫る高校新記録の2分21秒09で優勝。

「3冠をできて、タイムも思っていた以上で、うれしいです」

 笑みを浮かべた。

 渡部にとっての転機は、昨年5月から、シドニー五輪銀メダルの中村真衣らのコーチであった竹村吉昭氏の指導を受け始めたことにあった。竹村氏は、渡部の課題がメンタル面にあると気づいた。気持ちの浮き沈みが激しく、すぐに表情に出る。練習でもいいときと悪いときの差が大きい。だから、「苦しいときでも笑顔で」と、気持ちのあり方を伝え続けた。

【次ページ】 五輪中間年の過ごし方が、今後へとつながる。

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