フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
北米チームがアイスダンス金銀制覇。
勝利の理由は「ロシアのコーチ」。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAP/AFLO
posted2014/02/18 11:55
左から銀メダルのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイア(カナダ)、金メダルのメリル・デイビス&チャーリー・ホワイト(米国)、エレーナ・イリニフ&ニキータ・カツァラポフ(ロシア)。米国初のアイスダンス金メダルにして世界歴代最高得点での勝利だった。
アイスダンスの決勝は、上の方まで満席だった。会場中が熱気に満ちて、観客たちの声援も盛り上がっている。銅メダルを獲得したロシアのイリニフ&カツァラポフが「白鳥の湖」を滑った時は、会場中が轟くような歓声に包まれた。
ロシアでは、アイスダンスがシングルと同じくらい人気がある。バレエと同じように、国の誇りであり伝統でもあるからだ。
このスポーツが1976年に初めて五輪競技に加わったインスブルックで優勝した初代五輪チャンピオン、パホモワ&ゴルシコフのゴルシコフは、現在ロシアスケート連盟の会長を務めている。
金銀と上位を独占した北米チーム。
そんな中で、ソチ五輪の金銀は北米が獲得した。金メダルを手にしたのは世界チャンピオンでもある米国のメリル・デイビス&チャーリー・ホワイト。銀メダルは、カナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイアである。
彼らのメダルはあらかじめ予想されていたことで、1位、2位の順位が入れ替わったものの、バンクーバー五輪で金銀を獲得したのと同じ2組だった。
過去4年間、このトップ2組はお互いにしか負けたことがない。3位以下を寄せつけず、圧倒的な強さを誇ってきた。
「お互いプッシュし合って強くなった」
「なぜあなたたち2組が、抜きん出た強さを持っていると思うか」
そう聞くと、メリル・デイビスがこう答えた。
「まず私たちのコーチ、マリナ・ズエヴァが優秀だからでしょう。いくら感謝しても、しきれません。それからやはりずっと一緒にトレーニングしてきたことで、互いをプッシュし、モチベーションを高め、学び合ってきたおかげだと思います」
この2組は、ジュニアの頃から同じコーチの元で学んできたトレーニングメイトで、特にホワイトとモイアは子供の頃、ホッケーチームで競ったこともある仲であるという。
「コーチを共有するのは、時には難しいことでは。お互い嫉妬など、なかったのでしょうか?」
再びデイビスはこう答えた。
「ひとえにコーチのマリアナのおかげです。私たちはどちらもいつも平等な時間と注目をもらっている。不公平だと感じたことは一度もないんです」