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伊藤みき、積み重ねた時間の果てに。
「膝の悪化で棄権」という残酷な現実。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShinya Mano/JMPA

posted2014/02/07 11:45

伊藤みき、積み重ねた時間の果てに。「膝の悪化で棄権」という残酷な現実。<Number Web> photograph by Shinya Mano/JMPA

スタッフの助けを借りながら医務室へ向かう伊藤みき。26歳で迎えた3度目の五輪、8日の予選2日目は果たして……。

決勝進出の上村愛子、そして8日の予選2回目は……。

 4選手が出場した日本勢の中で、この日7位となって早々に決勝進出を決めたのは上村愛子ただ1人だった。滑り終えた上村は、伊藤についてこう触れた。

「スタート前『頑張ってきてください』という言葉をかけてもらいました。ここで出られないのはものすごく悔しいと思います。自分が何かしてあげることはできないけれど、とにかくよい滑りをしたいなという気持ちで行きました」

 その後、自身の滑りには笑顔を見せた。

「昨日までどのラインがよいか迷いながら滑っていたんですけれど、今日の朝からいろいろ考えながらここで何を変えてもしょうがない時間になっていたので、とにかく今できる一番良い滑りを、気持ちの面からやっていこうと思いました」

 その表情や言葉には、今までのオリンピックとは異なる落ち着きやゆとりが感じられた。いや、気負いのなさと言えるかもしれない。5度目のオリンピックだ。これまでのオリンピック、そしてそれにかぎらず、すべての局面から得た経験もあるだろう。伊藤同様、上村も時間を積み重ねて今日まで来たのだ。

 8日は最初に決勝進出20名から12名に絞られ、12名から6名、そしてその6名でメダルを争う――という段取りを踏んでいく。

「もう少しアタックしていこうかなと思います」

 と言う上村は、今まで階段を上ってきたのと同様、ひとつずつ、進んでいくことになる。

 この日、15位の星野純子、22位の村田愛里咲は、8日の予選2回目に決勝進出をかける。彼女たちを含め、伊藤みき、上村愛子、日本のモーグルの代表選手たちにとって、8日は大きな1日となる。

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