スポーツのお値段BACK NUMBER
「3年契約×10億円でドジャース移籍」
マー君獲得の商業的正解はこれだ!
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/01/16 10:50
人気は商業的価値を計る重要な要素。ファンの田中将大への支持は絶大だが、アメリカでも人気を博すことができるか。
1年間に10~15億円
(田中将大選手がチームにもたらす経済的利益)
1月25日午前7時(日本時間)の交渉期限が迫る中、メジャー挑戦を表明している田中将大投手の移籍先決定がカウントダウンの段階に入ってきました。
獲得に成功する球団がどこになるかはもちろんですが、どれほどの金額が動くのかという点もまた注目を集めています。一部では、契約金と年俸の総額で100億円を超える可能性すら報じられていますが、メジャーの各球団はいったいどのようにして「田中投手のお値段」を算出しているのでしょうか?
スター選手の獲得に乗り出す場合、球団は2つの価値を検討します。一つは「戦力(=チームの勝利への貢献度)」としての価値。そしてもう一つが、「商業的な」価値です。人気選手がいればファンも増え、チケットやグッズが売れる。そうした価値も勘案したうえで、獲得予算は組まれることになるのです。
今回は、田中投手の「商業的価値」を私なりに算出し、最も合理的な移籍先を推理してみたいと思います。
スター選手の「商業的価値」を計る4つの視点。
昨年9月、毎日新聞の岡田功記者とハーバードビジネススクールのステファン・グレイサー教授が共同で「How Major League Baseball Clubs Have Commercialized Their Investment in Japanese Top Stars」と題した論文を発表しました。要するに、メジャーの球団はどうやって日本人選手に払った費用の元を取ってきたのか、ということを考察しているわけです。
その論文によれば、スター選手の「商業的価値」は通常、次の3つの観点で検討されるといいます。
1.観客動員(チケット収入)がどれだけ増えるか
2.TV視聴率がどれだけ上がるか(全国放送と海外放送の放映権料はリーグに入るので、ここではローカル放送やケーブルTVの放映権料を指す)
3.グッズ等の売上がどれだけ上がるか(球場外での売上はリーグに入るので、ここでは球場内での売上を指す)
さらに獲得の対象が日本人選手の場合には、ここに次の視点が加味されます。
4.看板広告など、日本からのスポンサー収入がどれだけ増えるか