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阪神JF、ハープスターは世代最強?
脅威の末脚で凱旋門へ羽ばたけるか。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2013/12/07 08:01
5枠10番に入ったハープスター。鞍上の川田将雅は「普通に走ってさえくれれば」とコメントしている。
今年の2歳戦線では、女子が男子を圧倒している。それを端的に表しているのが、牡牝混合重賞の成績だ。これまで行われた7戦のうち、実に5戦を牝馬が優勝している。ウオッカやダイワスカーレット、アストンマーチャンといった競馬史に残る名牝が複数いた世代でさえ、この時期の重賞で、これほど牡馬をこてんぱんにはしていなかった。
となると、12月8日の阪神ジュベナイルフィリーズ(2歳牝馬GI、阪神芝外回り1600m)は、「2歳女王決定戦」であると同時に、「世代最強馬決定戦」と言ってもよさそうだ。
今年の「強い女子」を牽引するのは、父がディープインパクトで、祖母に二冠牝馬ベガがいる超良血馬、ハープスター(栗東・松田博資厩舎)である。
前走、デビュー2戦目の新潟2歳ステークスの勝ちっぷりは、まさに「ディープ級」だった。道中は最後方に待機し、直線だけ、いや、最後の300mだけで大外から前をまとめてかわしてしまった。前の馬たちがバテたわけではないのに、上がり3ハロンが2番目の馬よりコンマ8秒も速い32秒5というとてつもない瞬発力を発揮し、2着を3馬身突き放した。
特筆すべき、ハープスターに敗れた馬の活躍ぶり。
さらに特筆すべきは、このレースで敗れた馬たちのその後の活躍ぶりである。
2着の牡馬イスラボニータは、次走のいちょうステークスと、GIIIの東京スポーツ杯2歳ステークスを連勝。3着の牡馬ピークトラムはGIIのデイリー杯2歳ステークス3着、4着の牡馬ウインフェニックスはいちょうステークス2着、5着の牝馬マーブルカテドラルが芙蓉ステークス、牝馬重賞のアルテミスステークスを連勝している。敗者たちが、新潟2歳ステークスのレベルの高さと、それを制したハープスターの強さを証明しているのだ。
気が早すぎると言われるだろうが、新潟2歳ステークスのVTRを見た私は、来年の凱旋門賞でキズナの最大のライバルになるのは、今年の勝ち馬トレヴ以上に、最も有利な斤量(古馬牡馬59.5kgに対し3歳牝馬は54.5kg)で出走できるこのハープスターになるのではないか、と思った。
陣営は、来年のダービーの1次登録を済ませている。ウオッカの再来、あるいはそれ以上の存在となるか、注目必至だ。