Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
<EXILEを支える男に聞く> パフォーマーHIROの肉体。
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/12/04 06:00
だが肉体の限界が理由ではない。身体のキレは
依然として若いメンバーを圧倒している――。
秘密はアスリート顔負けのトレーニングにある。
日本を代表するダンスグループ、EXILE。最前線で存在感を見せ続ける
HIROに迫ったNumber840号掲載のインタビューを、特別に全文掲載します。
9月27日、東京ドーム。「EXILE PRIDE」ツアーの最終日。詰めかけた4万7000人の観衆を前に、HIROは4時間にわたって踊り続けた。引退するパフォーマーのものとは思えない、圧巻のステージだった。
野球やサッカーと同じく、身体を完璧に仕上げる必要性。
今回のツアーもいままで同様、身体作りについては徹底的に追い込みました。僕らの場合、ツアーの2カ月ぐらい前から身体を作っていって、1カ月前になるとかなり強度の高いフィジカルトレーニングをやります。普段はそのハードトレーニングに耐えるための土台になるエクササイズを心がけているっていう感じですね。
僕らにとってツアーというのは、野球選手やサッカー選手にとってのシーズンのようなもの。そこでベストのパフォーマンスを出すには、やっぱり開幕前に身体を完璧に仕上げる必要があるんです。
逆にツアーが始まった後は、強いトレーニングはせずに、身体をケアしながらひとつひとつのステージに集中します。ダンスっていうと、それほどストイックなイメージはないかもしれないですけど、ツアー中はホテルに閉じこもって、鍼やマッサージで身体のメンテナンスをしてるんです。もちろん、ツアーが終わればストレス発散でお酒も飲みますよ。嫌いじゃないですから(笑)。でも、ツアー中はそれぐらい集中しないともたないぐらい、身体的にハードなんです。
夜遊びに明け暮れた日々から一転、どん底に落ちた。
僕が真剣にトレーニングをするようになったのはEXILEを結成してからです。ZOOの時代はトレーニングなんかしたことがなかった。ディスコ・クラブ大好きで、夜遊びの延長線上でたまたま芸能界に入った感じだったから、最初は気の向くままにただ踊ってるだけでした。でも、ZOOが解散した後、いっぺんどん底に落ちて、すべてが変わったんです。J Soul Brothersを作ったものの、ぜんぜん売れないし、長年のツケが溜まって身体もボロボロの状態。でも、そこでエイベックスの松浦勝人社長をはじめいろんな人に助けられて、表舞台に返り咲くチャンスをもらえた。
だから、EXILEになってからは、ほんとに必死でやってきました。最初はハチ公前のストリートライブとかデパートの屋上で踊るところからやり直して、クラブツアー、ライブハウスツアー、ホールツアーへとステップアップ。だんだん人気も出てきて、ついにアリーナツアー、そしていまではドームで4万人のお客さんを集められるまでになりました。