野球クロスロードBACK NUMBER
長野、荻野、雄星、筒香……。
'09年ドラフト1位選手の○と×。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/12/31 08:00
1年目で打率.288、19本塁打で新人王となった長野。前々年・山口鉄也、前年・松本哲也に続いて3年連続となる巨人からの新人王選出となった
高卒新人ながらも大器の片鱗を見せた横浜・筒香。
そのほかでは、ヤクルトの中澤雅人は7勝9敗、防御率5.68と数字こそ及第点には程遠かったが、“投壊”した序盤のヤクルト投手陣のなかで奮闘し、その後のチームの快進撃にも一役買った。オリックス・古川秀一も春先こそ出遅れたが、貴重な左の中継ぎとして33試合に登板。防御率3.20とチームの信頼を勝ち取った。
大学、社会人出身選手の活躍が目立つなか、高卒新人ではただひとり、横浜の筒香嘉智が大器の片鱗を見せてくれた。
「日本ハムの中田(翔)よりもセンスがあると感じました。フォームに無駄がなく、パワー以上にどんなコースにも対応できる技を持っている。ピッチャーからすれば攻めづらいタイプですね」
開幕前に元中日のエース・今中慎二氏がこのように評価していたが、打者のみならず投手出身のOBですら彼の素質を買っていた。
周囲の前評判通り、筒香はイースタンリーグで本塁打、打点の二冠王。シーズン終盤に一軍デビューを飾り、最終戦ではプロ初本塁打もマークするなど、中田の1年目を上回る活躍を見せた。
他者を納得させるだけの結果を残したのはせいぜいこの5名だ。
二軍でのわずか2試合の登板に終わった西武・雄星は「×」筆頭。
ならば、残りの7名は「×」になるかといえばそうでもない。
中日・岡田俊哉、広島・今村猛、ソフトバンク・今宮健太、日本ハム・中村勝は高卒ということもあり、いわば将来性を見越してのドラフト1位。この4名全員が今季一軍に昇格したことを見ても期待の高さを窺わせる。
となれば、「×」は3名となる。
真っ先に名が挙がるのが西武の雄星だろう。
ドラフトでは6球団が1位に指名した金の卵も今季一軍出場ゼロ。二軍でもたったの2試合の登板に終わった。原因は左肩痛とされているが、投球フォームを崩すなど不振の兆候はキャンプから表れていた。