オリンピックへの道BACK NUMBER
スキー各種目のエースの共通点。
“3度目の正直”で挑むソチ五輪。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2013/11/04 08:01
10月30日に会見に臨んだ、前列左から伊藤有希(ジャンプ)、石田正子、伊藤みき、藤森由香(スノーボードクロス)、後列左から伊東大貴、渡部暁斗、湯浅直樹(アルペンスキー)。
10月30日、ソチ五輪開幕まであと100日となった。都内で記念イベントなどが開かれたこの日、全日本スキー連盟も記者会見を開いた。
出席したのは各種目のエース級である7名。思い思いにオリンピックへ向けての抱負を語った。
ノルディック・コンバインドの渡部暁斗は、サマーシーズンのグランプリでは総合優勝を果たしただけに、力強く語った。
「(オリンピックでの)メダルが近くなった実感はあります」
続けた言葉も力強かった。
「(ノルディック・コンバインドは)今まで個人種目でメダルを獲ったことがないので、僕が獲って歴史に名を刻めたら、と思います」
男子ジャンプの伊東大貴はこう語った。
「体の調子はよいです。ソチに向けて、国内大会、ワールドカップと大会が続きますが、たくさん優勝して、結果を出していきたいです」
3度目のオリンピック経験が彼らを強くした。
昨シーズン、世界選手権で銀メダルを獲得し、ワールドカップで初優勝するなど飛躍を遂げたモーグルの伊藤みきも夏までの調整の順調さをアピール。そして競技日程が序盤であることから、こう語る。
「チームジャパンに勢いをつけるためにも、ここからメダルラッシュだという第1号になりたいと思っています」
それぞれの表現で抱負を口にした3人の選手に共通するのは、'06年トリノ、'10年バンクーバーに出場し、ソチ五輪の代表になれば3度目のオリンピックになるということだ。そして過去のオリンピックで得た経験が強くさせたということでも共通する。
高校生で出場したトリノに続く2度目のオリンピックであったバンクーバーで、渡部は日本勢最上位の9位の結果を残す。ひと桁の順位に入ったことは、一定の手ごたえがあった一方で、世界の上位との差を実感する場となった。当時の言葉にもその両方が表れていた。
「(クロスカントリーで)一人であっても走れる選手にならないと。メダルを狙える選手になりたいです」
課題を知るとともに、「もっと上へ」という強い意欲を抱いたのである。