最終追い切り、完成の域に達したオルフェーヴル。

　本番4日前の10月2日、水曜日。シャンティイのエーグル調教場で、オルフェの最終追い切りが行われた。クリストフ・スミヨンを背にしたオルフェは、4頭併せの調教で、一番後ろから追走。ラスト300mほどで馬の間に割って入り、持ったまま抜け出し、後ろを5、6馬身突き放した。

　池江は、会見に臨む直前、ビデオでその動きを確認しながら、「我慢が利いていた。頭を上げていないものね」と親しい記者に話し、最後に「トレビアン！」と声を上げ、周囲を笑わせた。

「前哨戦と同じように、後ろの馬を気にすることなくどんどん離して行った。課題をクリアしてくれたので、大変満足しています」

　ライバルはどの馬かと問われると「オルフェーヴル自身」と答えた。

「18頭立てになれば、自分以外の17頭全馬がライバルです。ただ、（一番）強いのはオルフェなので、気性の激しいオルフェをいかにコントロールできるかによって勝敗が決まると思います。去年は、直線で先頭に立ったとき、一度は勝利を確信しました。ところが、そこで悪い癖が出て負けてしまった。今年はゴール入線後も、日本のファンのみなさんに喜んでもらいたいですね。歴史的瞬間を共有できたらいいな、と思っています」

前哨戦で英ダービー馬を退けたキズナ。

　オルフェーヴルがフォワ賞を勝った日、武豊が騎乗したキズナ（牡3歳、父ディープインパクト、栗東・佐々木晶三厩舎）は、同じロンシャン芝2400mで行われた3歳限定のニエル賞（GII）を制した。道中は後方に待機し、直線で外に持ち出されると豪快に伸び、イギリスダービー馬ルーラーオブザワールドを短頭差で退けての勝利だった。

「ダービー以来の実戦で、しかも海外での初レースだったので、どういう走りをしてくれるのか、ぼくも興味を持って臨みました。結果は見てのとおりです。いい競馬をしてくれて、いろいろ心配していたことをすべてクリアしてくれました」

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