日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
新戦力筆頭は柿谷ではない!?
観察力と吸収力の男、工藤壮人。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKenzaburo Matsuoka/AFLO
posted2013/10/01 10:31
グアテマラ戦で試合の流れを決定づける追加点を奪った工藤。A代表は現在4試合で2得点。あらゆる形でゴールに絡む能力は、数字にもはっきり残っている。
「北嶋っぽい、岡崎っぽい」を越えてオリジナルに。
北嶋っぽい、岡崎っぽい。
だがそれで終わってしまっては彼らを超えられない。吸収してなおかつ北嶋を超えたい、岡崎を超えたいという強い向上心があるからこそ、彼は急成長を遂げているのではあるまいか。
23歳の工藤は、ロンドン五輪世代。しかし本大会メンバーにおける最終選考では、当落線上にもいなかった存在だ。ロンドン五輪に縁がなかったという点では、今をときめく柿谷も同じである。反骨心が成長を呼ぶ原動力になったのか、と工藤本人にぶつけたことがあった。しかし「そういうのはまったくありませんよ」と笑って否定された。そしてこう強調した。
ADVERTISEMENT
「僕の場合は、どれだけチームのなかで自分を活かすことができるかに焦点を当てて考えます。そこで成長できればいいですから」と――。
成長を遂げるには場数が必要になる。
現在柏レイソルは、サウジアラビアに渡ったACLアルシャバブ戦(9月18日)以降、ずっと中2、3日の試合が続くという過酷な連戦のまっただ中にある。工藤はその前に日本代表に招集されているため、かなりタイトなスケジュールになっているのが現状だ。「どんどん試合があったほうが合っている」と本人は言う。だが、ホームのアルビレックス新潟戦(9月28日)で直に工藤の動きを見ると、やはり疲労の蓄積が感じられた。結果として、相手に激しいタックルを受け、大事を取って前半だけで交代してしまった。
しかし、今が踏ん張りどきである。
広州恒大(中国)とのACL準決勝第1戦(ホーム)を1-4で落とし、10月2日にアウェーで第2戦を迎える。ここでエースがどう意地を見せてくれるのか。またリーグ戦こそ下位に沈んでいるが、ナビスコ杯は優勝を狙える位置まで来ている。新しい太陽としてレイソルに輝きをもたらすことができれば、逞しさも身についてくるに違いない。
苦境は好機の裏返し。
壮盛のストライカーに、今そのチャンスが巡っている。