青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
精密機械の金。爆発力の石川と池田。
最終戦へ続く賞金王争いを徹底分析!
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph bySankei via Getty Images
posted2010/11/29 12:05
賞金王の行方は最終戦まで持ち越された。1試合を残して賞金王の可能性を残すのはキム・キョンテ(金庚泰)と石川遼、池田勇太の3人である。
三つ巴というにはキム・キョンテが頭一つ抜け出した状況だが、終盤戦は消化試合の様相を呈してしまった女子ツアーの状況を見れば、昨年賞金王を争った石川と池田の2人が今年もしっかりと責任を果たし、最終戦まで興味をつないだことには大きな価値があるというものだ。
先月の日本オープン以降の優勝者を並べてみれば、クライマックスに向けて男子ツアーの盛り上がってきた様子が見て取れる。
日本オープン=キム・キョンテ
ブリヂストンオープン=池田勇太
マイナビABC選手権=キム・キョンテ
三井住友VISA太平洋マスターズ=石川遼
ダンロップフェニックス=池田勇太
先週のカシオワールドオープンを松村道央が制するまでは、1カ月以上に渡って“3強”が優勝を独占し続けてきた。
後半戦にペースを上げた池田が賞金王レースを面白くした。
特に賞金王レースを活気づかせたのは池田の復調だった。度重なる海外遠征で精彩を欠いていた前半戦に比べ、ここにきて持ち味であるショットの切れが完全に甦った。
11月中旬のダンロップフェニックスでキム・キョンテや石川よりも早くシーズン4勝目を手にして賞金王争いに名乗りを挙げると、次戦となった先週のカシオワールドオープンでも2週連続優勝を目指して初日から優勝争いに加わった。
しかし、首位タイで迎えた最終日にチャンスを逃し続けて5位。それでも切り替えの早さがまた池田の持ち味である。悔しい気持ちに早々とカタをつけて、「ものすごく単純。勝てばいい」と次に気持ちを向けた。
同じくカシオワールドオープンで、石川も執念を見せた。初日39位と出遅れて2年連続賞金王の夢は絶たれたかに見えたが、最終日には気迫に満ちたプレーで5バーディー、1ボギーの68。不調のパターをどうにか手なずけて8位に食い込み、「最終戦までもつれさせるのが自分の仕事」と自らに課したノルマも果たした。
「来週(ゴルフ日本シリーズJTカップ)は自分が勝つことが大前提。でも初日から優勝を意識してプレーすることは、これまでやってこなかった。今度もそういうことは考えずに、まずはいかに最終日に優勝を争える位置にいくか。やるべきことはそれしかない」