ポスト魔裟斗も出ず。テーマなき大会の代償とは？

　昨年のトーナメントには、優勝者が大晦日のリングで魔裟斗と対戦するという構図があった。魔裟斗が出場していなくても、彼が軸になっていたのである。しかし、今年はすでに魔裟斗が引退している。スターの力に頼ろうにも頼れず、といって“立ち技70kg世界一”の価値が充分には認められていないという状態だった。

　つまり今年のMAXには、テーマがなかった。あったとしても、魔裟斗の存在ほどには大きくなかった。あくまで“魔裟斗のいないMAX”であり“今年のMAXは○○”に代入すべき言葉が見当たらなかったのだ。

　優勝したペトロシアンも、自身の喜びと客席の盛り上がりにギャップを感じたのかもしれない。試合後のインタビュースペースで、次に闘いたい相手を聞かれた“立ち技70kg世界最強の男”は「魔裟斗かな」と言って笑った。ジョークとはいえ、今年のMAXを象徴する言葉に思えてならなかった。