ロッテの即興演奏のような継投策は通用しないはず……。

　だがロッテも巨人も、そんな即興演奏のような継投策が奏功するのは第1ステージまでの話だろうと思っていた。相手がリーグの覇者で、4勝しなければ勝てないファイナルステージではそんな戦い方はきっと破綻をきたすだろう、と。

　ファイナルステージでソフトバンクと対戦したロッテは、初戦こそ成瀬の完投で3－1と勝ち星を挙げたものの、第2戦はガクっと格落ちした感のあるペンを先発させ、1－3であえなく敗戦。ソフトバンクの先発が2本柱のうちのひとり、和田毅だったため「捨てゲーム」だったといえばそうだが、それを考慮したとしても、やはり日本シリーズをねらうチームの先発としてはあまりにも物足りない感じがした。これが3位チームの限界なのだとさえ思った。

　ロッテは3戦目も落とし、ソフトバンクに王手をかけられる。だが後がなくなった第4戦、シーズン中は不振にあえでいた渡辺俊介が復調し、4－2でひとつ取り返す。

ソフトバンクの必勝パターンがCSで通用しない？

　が、今度こそ、ここまでだろうと思った。

　第5戦の先発はおよそ3カ月間、一軍での登板機会がなかった大嶺祐太だ。またしても「即興野球」、言い換えれば綱渡りのような投手リレーになることはある程度まで予想できた。

　案の定、大嶺は3回すらもたずにマウンドを下りる。そして、ここからロッテは例のごとく必死でつないだ。

　対するソフトバンクは今季いちばんといってもいい投球を披露し、無失点に抑えていた大隣憲司を5回でスパッとあきらめ、6回から早くも必勝パターンに持ち込んだ。1－0と、リードはわずか1点である。それでも、いわゆる「SBM」を始めとする12球団中最強との呼び声が高いブルペン陣なら逃げ切れると踏んだのだ。

「いっぱいいっぱい」ゆえの継投策だったロッテとは異なり、実にぜいたくな継投策だった。だが、結果的にはそれが裏目に出た。

　ファルケンボーグや攝津正といった、シーズン中は磐石だった中継ぎ陣がことごとく失点し、2－5と逆転負け。ロッテに逆王手をかけられる。

　そして第6戦。

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