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首位がレアルでもバルサでもない?
連勝街道バレンシア、強さの秘密。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byMutsu Kawamori
posted2010/10/07 10:30
ビジャの後釜として獲得したFWソルダードはバレンシアで生まれ、レアルでプロデビュー。昨季はヘタフェで26試合出場、16ゴール
次節のバルセロナ戦が、今季最初の試金石となる!
今季、デビューから16年在籍したレアルを離れ、シャルケへ移籍したラウールは、デビューしたての頃、「試合でのゴールチャンス1回は、シュート練習100回分の価値がある」と言った。
レアルでレギュラーの座をつかめずにいた若かりしラウールは、少ない出場時間でも一度のチャンスで、FWとして身体に染み込ませるべき情報を一つでも多く得ようと貪欲にプレーし続けた。この姿勢は、全てのサッカー選手が模範とすべきものだが、幸運なことにバレンシアのFWは、今のところ試合でのゴールチャンスだけなら多く手にできる環境にいる。つまり、彼らは常に大化けする可能性を秘めていることになる。
もし、彼らのうちひとりでも一皮剥けることができたら、バレンシアはこれまでにない強さを手にするだろう。しかし、FW陣が成長しなければ、チャンスは作れどゴールは奪えず、やがて「ビジャやシルバがいたら……」と囁かれるようになるはずだ。周囲の雑音によって試合にも集中できず、そして勝ち点を取りこぼしていく、といった“負の連鎖”に陥りかねない。
果たしてバレンシアは、どちらに転ぶのか。
6節を終えて中断明けの10月17日、カンプノウでのバルサ戦が、バレンシアの今後を占う大一番になるだろう。