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<移籍の真相とバルサへの想い> ズラタン・イブラヒモビッチ 「ミランは最高のビジネスを成功させたぜ」
text by
クリスティアーノ・ルイウCristiano Ruiu
photograph byAFLO
posted2010/10/04 06:01
7度のリーグ優勝に貢献も、CL制覇が1度もない理由。
――とはいえ、今季のミランを率いるのは、まだ43歳と若いマッシミリアーノ・アッレグリだ。名門ミランを率いる上で、その経験の薄さを懸念する声が少なくはない。
「俺もミランに来たばかりだからよく分からないよ。ただ、彼が目指すサッカーを直に聞いて、常に攻めて行こうとするそのメンタリティーに強く共感している。アッレグリが目指すのは、敢えて言葉にすれば『勇敢に攻めるサッカー』。まさにこの俺の理想と同じだからな。楽しめるはずだぜ」
――イタリアとスペイン。両方のリーグを経験したわけだが、最も大きな違いとは?
「誰もが言ってることだが、要するに攻撃的か否か。アッレグリのメンタリティーがイタリアでは少数派に属するとすれば、スペインはまったく逆だ。とにかく攻める。何よりもまずはゴールを奪うことが目的であって、守備は二の次というか。なので必然的に派手な試合が多くなる。で、ことミランに関しては、新監督だけでなく、クラブそのものが伝統的に“攻撃的”なサッカーを志向している。俺のキャラにピッタリとハマるってことだね」
――つまり、君とロナウジーニョ、パトとロビーニョからなる、例の“ファブ・フォー”(素晴らしい4人)の同時起用は可能だと?
「もちろんだよ。互いにフォローし合うっていうスピリットさえあれば、それを不可能とする理由はない。トレーニングと試合を重ねていくごとに、俺たちはより楽しめるはずだよ。俺は例の4人にインザーギも加えたいんだよな。で、俺たちが楽しめば楽しむほど、相手が抱く恐怖は増していくはずだ」
――(仮にユベントス時代も含めれば)過去7季で7度のリーグ戦制覇に貢献。だがイブラヒモビッチは一度もCLを制していない。その理由を君自身はどう分析しているんだい?
「あのタイトルをマジで狙えるクラブに属したのは昨季だけだった、というのが俺の分析(笑)。実にシンプルだが的を射てるだろ? で、今季から遂にミランでプレーできる俺は、ようやく本当の意味でCLに勝つチャンスを手にしたんだと思っている。歴史が雄弁に物語るように、ミランはCLでこそ真価を発揮するクラブだからな。ガッリアーニは俺にこう明言した。『もちろんスクデット獲得も狙いにいくが、あくまでも我々にとって最大の目標は、CLのタイトル奪還にある』と。そのために俺はここにいる」
――初のCL制覇を狙う君は、バロンドールもまた視野に入れているのだろうか?
「いや、俺が狙うのはまずはCL制覇、そしてスウェーデン代表の躍進だよ。フィジカルの状態はかつてないまでに良好だし、モチベーションもまた過去の比じゃないレベルにある。イブラファンにとっては堪らない1年になるはずだぜ!(笑)」