リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
スペイン代表が驚きの布陣変更。
裏には監督によるシャビへの配慮!?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byKeita Yasukawa
posted2013/06/25 10:31
「無敵艦隊」スペイン代表の栄光を長らく支えてきた司令塔シャビも今年で33歳。2014年W杯後の代表引退が示唆されているが……。
ファンやメディアからの批判、アキレス腱の故障……。
確かにアロンソと違い、ブスケッツはバルサで1人に慣れている。タイトルを賭けた大会でも心配は皆無だ。
一方で、重鎮シャビへの気遣いという穿った見方もできる。
昨年のユーロの決勝戦前、シャビはデルボスケに大会後の代表引退を伝え、慰留された。エル・パイス紙のインタビューで次のように語っている。
「監督には『次のW杯にも出なきゃダメだ。ブラジルでの大会を逃すなんて……』って言われたよ。バケーションの間、よく考えろって」
結局シャビは翻意したわけだが、問題は引退を望むに至った理由だ。
「自分の気持ちというより(メディアやファンの)批判のせい。『スペインはいい試合をしている。ユーロのファイナリストになった。でも僕自身は酷いなどと言われ続けてる』って思ったんだ。それから、『みんなお前にうんざりしているんだ。シャビ、そろそろ潮時だぞ』とも」
加えてフィジカルコンディションに決断を迫られたという。
「(アキレス腱の故障のせいで)W杯後はしばらく足を床につけることさえできなかった。だからユーロのとき思ったんだ。このままだと1年で終わりだけど、代表を辞めてバルサに専念すればあと2年続けられるかもしれない」
「シャビのプレイはバルサでも代表でもそれほど変わらない」と説得。
だが、'08年からのスペインの軌跡を追った本『La hazana de La Roja』は、ドブレ・ピボーテこそシャビが代表引退を考えた本当の理由だとしている。
デルボスケ自身、この本の中で明らかにしている。
「シャビは、自分が好きな形が代表には反映されていないみたいだと言う。だから、わたしは説明してやった。代表はいろいろなスタイルが混ざっているのだと。確かにいまの代表にバルサらしさはあるけれど――バルサの中盤のメンバーは我々の中盤のメンバーでもあるからね――ここには他のクラブの選手もいる。自分のチームとは異なる仕事を与えられている者もいる。そして、シャビのプレイはバルサでも代表でもそれほど変わらないってことをわかってもらった。どちらにおいても彼の役割はそっくりだ」