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<公開セミナー特別レポート2>
ファン数ワースト2位でも売上げ増へ。
千葉ロッテの地域密着型経営。 

text by

茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byAsami Enomoto

posted2013/06/18 10:30

<公開セミナー特別レポート2>ファン数ワースト2位でも売上げ増へ。千葉ロッテの地域密着型経営。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

受講した約200名は、Number Webの読者と、グロービスの受講生やOB。メモを取りながら、熱心に聞き入る人が多かった。

パ・リーグ全体に広がった好評企画「プロポーズナイター」。

  

 指定管理者制度の恩恵によって、スタジアム内で自由に企画立案ができるようになった千葉ロッテ。それを象徴するようなイベントがある。'11年9月3日の楽天戦で行われた「プロポーズナイター」だ。

 婚約結婚指輪を製造するメーカー「アイプリモ」とのタイアップで行われたこの企画は、結婚予定のカップルが始球式に臨み、打席に立つロッテの外野手・岡田幸文に対してピッチャー役の男性がストライクを取ったらプロポーズをするというシンプルな仕組みだった。しかしこれが“当たり”のイベントとなった。原田氏は当時を思い出しつつ、プロポーズナイターを振り返る。

「男性がプロポーズする際に、サプライズで指輪を渡したのです。この行動を見た観衆の皆さんも祝福する、まさにめでたしめでたしという雰囲気になったのです。“球界初”という触れ込みもあってメディアに大きく取り上げられ、スポンサーにも好印象でした。ファン、球団、スポンサーどれもが喜んだ企画となったのです」

 好評を博したプロポーズナイターは、思わぬ形で発展した。今年も6月2日にQVCマリンでプロポーズ始球式が行われたが、スポンサーのアイプリモはスポンサー額を増加したという。そしてこのイベント自体が千葉ロッテだけではなく、昨年からパ・リーグ全体の取り組みとして、各球団の本拠地6球場で行われるものへと拡大したのだった。

チームの順位に左右されず利益を確保できる経営を。

 このような企業努力を絶えず繰り返すことによって、売上高を伸ばしていった千葉ロッテ。赤字幅も縮小しているのは、チームの成績に左右されない経営環境を構築しつつあるからだと原田氏は語る。

「もちろん、プロチームとして試合の勝ち負けという点は重要です。その一方で順位に依存しないように利益を確保していく。このような考え方が球団経営では重要です。最終順位がBクラスであってもどれだけ売り上げを確保できるか? ということなのです」

 事業構造の変化によって、球団の収入源はチケット一辺倒からスポンサーやスタジアム事業などへの多角化を図れているという。それを支えるリピーター率の高いファンの心を離さないために、ファンサービスやイベントなどのソフト面を絶えず強化し、自社や定型メディアを使って発信していく。

 千葉ロッテは恵まれていなかったはずの「マーケット、メディア、スタジアム」の3要素をサイクルさせる仕組みを構築して改善への道を歩んだのだ。

 さて、このビジネススタイルはMBA的観点で見た場合、どのように映るのだろうか?

 次回は葛山氏と原田氏との対談、そして公開セミナーの出席者から飛んだ鋭い質疑応答を抜粋してさらに掘り下げていく。

公開セミナー特別レポート第3回「ファンがファンを呼ぶ、また行きたい。
千葉ロッテが目指す顧客満足とは?」は、明日、6月19日(水)公開予定です。
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#千葉ロッテマリーンズ
#原田卓也

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