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<成功する移籍の4条件> 欧州のクラブは日本人のどこを見ているのか。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/09/03 06:00
「日本よりベネズエラの方が高く評価されている」
また、移籍市場においては、「若さ」も能力のひとつだ。多くのクラブにとって、日本人選手は未知の物件であり、できればうまく育てて高く売りたいと考えている。ヘタフェは「日本人を取るなら20歳以下に限る」という方針を打ち出しているほどだ。
武器、基本、アグレッシブさ、年齢――。日本人が欧州行きの切符を手にするには、特にこの4つをクリアしなければいけないのだ。
たとえば香川の場合、ドリブルという武器があり、確実なプレーもでき、年齢も21歳と、3つの条件が満たされていた。ドルトムントのスカウトはアグレッシブさの面で不安を抱いていたが、今季開幕から3週連続でJリーグを視察し、ゴーサインを出した。
ただし、ひとつ忘れてはいけないことがある。欧州のトップリーグに憧れるのは、日本人だけではないということだ。南米からも、アフリカからも、若き才能たちが一攫千金を夢見て挑戦しにくる。代理人の野村豊幸氏はスペインのオサスナやバレンシアと交渉したとき、「日本よりベネズエラの方が高く評価されている」ことを痛感したという。
日本の評価は確かに上がっているが、南米勢やアフリカ勢に比べたらまだまだ。ここからさらにステップアップするには、まずは今季欧州に飛び込んだ若手たちが、コンスタントに結果を出すことが必要になるだろう。