プロ野球亭日乗BACK NUMBER
クルーン“大喧嘩”騒動の真相。
忍耐強い野球選手がキレてしまうとき。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/08/21 08:00
スティーブン・スレーターという名前を聞いて、ピンとくる人は相当な海外時事ネタ通だろう。
この男性はアメリカの航空会社の客室乗務員だったが、ベルト着用サインが消えないうちに荷物を降ろそうとした女性客に注意をしたところ無視され、しかも落ちてきた荷物が頭を直撃。謝罪を求めたが、逆にこの女性客からののしられてプチっときてしまった。機内アナウンスで「この仕事を28年やってきたが、もうたくさんだ! 以上」と宣言して、缶ビール一本をつかむと脱出用シューターを作動させて機外に。そのまま駐車場に停めてあった車で自宅に帰ってしまった。
その後、一度は警察に逮捕されたが、釈放後はネットなどで同情を集めて、一躍ヒーローとなったという。
人間、ひょんなことでスイッチが入ってしまうことは、ままあるものだ。ただ、どこでそのスイッチが入るのか? 他の人にとっては、思わぬことがきっかけになることもある。
クルーンが観客と大喧嘩、騒然となったナゴヤドーム。
巨人のマーク・クルーン投手も、思わぬことでスイッチが入ってしまった。
ナゴヤドームで行われた8月18日の中日戦。練習中に観客と大喧嘩をして、一時、球場が騒然となったという。
「唾を吐きかけられた!」
激怒の理由はこうだった。
試合前の練習中に三塁側スタンド前でファンにサインをしていたところ、60~70代の男性ファンからヤジを飛ばされ、唾を吐きかけられた、と激高。そのファンに詰め寄り大騒ぎとなった。
男性は「入れ歯がはずれただけだ」と唾を吐きかけたことは否定したが、最終的には関係者が間に入っておさめ、その男性ファンも球場関係者に事情聴取を受けるはめになったという。
クルーンはマウンド上ではちょっとエキセントリックなところはあるが、普段はいたって落ち着いた選手だ。
「オレは甲子園の阪神戦が大好きだ。あんなにエキサイティングな球場はないよ」