欧州サムライ戦記BACK NUMBER
シャルケ・内田篤人がCL出場権獲得。
怪我多き1年の終わりに見せた安堵。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/05/20 12:25
試合後、シャルケサポーターのもとへと挨拶に訪れた内田篤人。今季は怪我に苦しみながらも昨季を上回る24試合に出場した。
「あいつだけの責任じゃなくて、みんなの責任だから」
後半に入ると、フライブルクは再びギアを入れて、攻撃をしかけてきた。
そんな中、後半9分のことだ。シャルケのコーナーキックをフライブルクが跳ね返し、前線に送る。シャルケの左SBコラシニクがクリアするも、中途半端なクリアになったボールをフライブルクに拾われて、カウンターを受ける。
最後はペナルティエリアにさしかかるところで、内田が相手の選手と一対二の状況に陥った。ローゼンタルのシュートはGKヒルデブラントがブロックしたものの、こぼれ球をシュミドに押し込まれ、同点に追いつかれてしまった。
しかし、内田はコラシニクをかばい、チームとしての責任だったと振り返る。
「時間を稼ぐためにも、前にやる(クリアする)っていうのは悪くないんだよ、相手も来ていたし、トラップするのは危ないと思ってんだろうから。ただ、みんなが早く戻ってこなかったから。そりゃ点をとられるわ……と思った。あいつだけの責任じゃなくて、みんなの責任だから」
これで肩をおとしても不思議ではなかったが、そのわずか3分後、シャルケにはラッキーな形でゴールが生まれる。
後半12分、カウンターのチャンス。ボランチのジョーンズが右サイドを上がっていき、フリーでペナルティエリアに侵入する。思い切りよくシュートを打っても良い場面だったが、ファーサイドにフンテラールが走りこむと確信したジョーンズは、速いクロスを送る。慌てて戻ったフライブルクの選手たちにボールが当たり、最後はシュスターのオウンゴールという形でシャルケに待望の勝ち越しゴール。反撃モードに出ようとしたフライブルクの選手たちの出鼻を挫いた。
「最後の20分くらいはディフェンス練習みたいだった」
だが、その後もフライブルクがボールを持って攻撃をしかけ、シャルケがそれを受け止める構図に変わりはなかった。70分にファルファンに代わってフクスが入ったのを皮切りに、シャルケは守備的なカードを次々と切っていく。そのたびに、両チームの攻守における対照的な立場はより鮮明になったが、最後の局面ではシャルケの選手たちが体を張っていった。試合後の内田はこんな風にもらした。
「疲れたぁ……。ディフェンスが厳しいのはわかっていたけど、最後の20分くらいはディフェンス練習みたいだったからねぇ」
試合は結局、「ディフェンス練習」をしっかりと終えたシャルケがリードを守りきり、2-1で勝利を掴んだ。
「この試合は我々のベストゲームではない。でも、とてもハッピーだよ」
来季のCLプレーオフの出場権を手にして安堵したケラー監督もこんな感想をもらした。