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鉄壁守備が売りの大宮で異彩を放つ、
“危なっかしい男”高橋祥平の魅力。 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byAFLO

posted2013/05/13 10:30

鉄壁守備が売りの大宮で異彩を放つ、“危なっかしい男”高橋祥平の魅力。<Number Web> photograph by AFLO

サイズのハンデを読みと反応でカバーする、日本人らしいCB。代表を狙っていることを公言する、発言の直截さも魅力の1つだ。

リスク回避型の守備と、リスクを負った上での守備と。

 センターバックにとって重要なのは、シンプルに言えば相手の攻撃を跳ね返すことだ。だから、空中戦を制するために少しでも高さがあったほうがいい。屈強な相手FWに対抗するために少しでも強さがあったほうがいい。

 とはいえ相手と勝負するための武器となり得るのは、高さや強さだけではない。一歩でも速くボールの落下点に到達するスピード、その一歩を踏み出させる読みの鋭さと決断力、あるいは組織的に相手を追い込む駆け引きの巧さ――。高橋にはそのすべてが備わっている。

 例えば、自分に背を向けた相手の足下にクサビの縦パスが入るとする。その際にセンターバックに突き付けられる選択肢は大きく分けて2つしかない。

 1つは、どっしり構えて壁を作り、あくまで相手を振り向かせないこと。そしてもう1つは、予測にもとづいて相手の“前”に割って入り、インターセプトを狙うことである。

 簡単に言えば、前者はリスクを回避しながら、後者はリスクを負いながらボール奪取を狙う。

 センターバックとしての高橋は、できるだけ常に後者の選択肢を頭の中に入れているタイプである。

 ある日の練習後、高橋を呼び止めて聞いた。

安全策を取るより、前に出て敵との駆け引きで勝負するタイプ。

―――高橋選手に対しては、“前”で勝負できるセンターバックという印象を持っています。

「そうですね。僕は体が大きくないので、常に予測しているというか。ボールが落ちてくるところ、パスの流れを予測して、スピードを生かして一歩でも速く相手の前に入る。インターセプトして前に上がって行く時は、やっぱり楽しいですよね。それから、例えば、マークに付いている相手との駆け引きでシュートを打たせて、それをブロックするのもそうですけど」

―――つまり、駆け引きで勝負する。

「そういうプレーが好きというか、やっていて楽しいと感じるんで。個人だけじゃなく、組織としても。例えばオフサイドを取る動きは、大宮に来てからすごく学びました。このチームの最終ラインは常に高い位置をキープするし、ちょっとでもズレたらオフサイドを取れないので。そういう動きを勉強する中で、少しずつ周りを見られるようになってきたと思います」

【次ページ】 「自分の色も出しつつ大宮のサッカーも吸収して……」

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