濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
シンガポールを拠点とした青木真也。
異国の地でも“仲間”のために闘う!
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2013/04/12 10:30
この試合でも、持ち味となるグラウンドでの技のキレは健在。自身のフェイスブックでは、最近の書き込みが英語と日本語併記という国際派ぶりを披露している青木。
EVOLVEの仲間への熱い思いが、青木を突き動かす。
毒蛇は急がない――そんな言葉を思い起こさせる試合から一転、ベルトを巻いた青木の顔はクシャクシャ、その声は震えていた。
「チャンピオンになれたのは僕の力じゃない。チームのみんなが僕を勝たせてくれました。これはEVOLVEの最初のベルトです。コングラチュレーションズ!」
そう言って、EVOLVE MMA・チャトリ会長の腰にベルトを巻く。青木にとって、このベルトはジムのためのものだったのだ。王座挑戦を表明したのも、チャンピオン決定戦で同門のブラジル人ゾロバベル・モレイラが朴に敗れたことがきっかけだった。
所属を変え、主戦場を変え、強さを増しても、そこには“変わらない青木真也”がいた。かつて“DREAMの大黒柱”を名乗り、主催者を“親”と呼んだように、今はEVOLVEへの思いが彼の背中を押しているのだろう。
DREAMを離れたこともあって、青木には個人主義的なイメージが強い。だが実際には、誰かのために闘う時にこそ、彼は最高の力を発揮してみせるのだ。