フットボール“新語録”BACK NUMBER
ロシアU-18代表デビューを果たした、
日本人高校生・篠塚一平の成長曲線。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byShinya Kizaki
posted2013/04/05 10:30
スパルタク・モスクワのリザーブチームに所属し、ロシアU-18代表デビューも果たした篠塚一平(右)。隣はスパルタクでも代表でもチームメイトのデニス・ダビドフ。
ロシアU-18代表のレベルは経験したことのない領域。
ロコモティフ・モスクワの注目のタレント、アレクサンドル・ロマーキンが負傷し、急遽、篠塚が合宿に招集されたのだ。篠塚は初めてロシア代表のトレーニングウェアに袖を通し、持ち味であるドリブルとパスを存分にアピールした。
合宿途中にロマーキンが復帰したが、ロシアU-18代表の最終選考に残ったのは千葉県出身の17歳だった。篠塚の執念がロコモティフのエースに勝ったのだ。
とはいえ、メンバーに選ばれたものの、やはりロシアU-18代表のレベルはこれまでに経験したことのない領域だった。
篠塚は言う。
「当時、僕はスパルタクU-18でプレーしていたんですが、ロシアU-18代表のほとんどの選手はトップチームのリザーブ(サテライトチーム)でプレーしていた。アカデミー(育成組織)でプレーしていたのは自分くらい。みんなプレーや判断のスピードがすごく速かったです」
代表での様々な出会いを通じて刺激を受ける日々。
また代表では、日常生活に対する意識も高かった。コーチから食事について、細かく管理された。
「食事のことをすごくうるさく言われました。揚げ物とデザートは一切禁止。僕は筋肉をつけるためにプロテインを渡されました」
大会中のホテルではレディング(プレミアリーグ)に所属するGKと同部屋になって、イングランドのサッカーについて話を聞いた。また、CSKAモスクワでトップデビューを果たしたドミトリ・エフレモフとも友達になった。こういう経験すべてが、刺激になった。
今、篠塚は次なるステージの勝負に挑んでいる。
スパルタクのU-18から昇格して、リザーブチームの試合に参加する機会が増え始めたのだ。3月中旬、モスクワを訪れると、篠塚がスパルタクのリザーブの練習試合に後半から出場し、セカンドトップ(トップ下)として1ゴール1アシストをあげて2対1の逆転勝利に貢献した。同じく後半から出場して1ゴールを決めたロシアU-18代表のデニス・ダビドフとともに、この日のMVPと言っても良かった。