痛快☆ブブゼラ通りBACK NUMBER
ドイツのタコより凄い占い師登場。
南アW杯優勝国はオランダである!
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byTakashi Kumazaki
posted2010/07/11 12:40
ドイツのタコ助「パウル君」は餌を食べているだけだ!
彼女は神妙な表情で床をにらんでいたが、やがて手にした棒切れで新聞のスポーツ面を指し示した。オランダ代表だった。
2010年7月9日夕刻、貧しい身なりをした怪しげな男たちが行き交う薄気味悪いダウンタウンの一角で、オランダの初優勝が宣されたのだった――。
ちなみにエリザベスは、サッカーにサンゴマを使ったのは初めてだと告白した。話題沸騰中のドイツの予言タコ「パウル君」の存在も知らないという。
「すごいんですよ、全試合当ててるんですよ」と教えたが、彼女はほとんど関心がないようだった。
それもそうだろう。パウル君は何も占ってはいない。餌を食べているだけなのだ。それに比べると、こちらは何百年もの歴史を誇るサンゴマである。タコ助なんぞに負けるはずがない。
帰り道、タクシーの中でブルースと語り合う。
ぼくは尋ねる。
「エリザベスは優れたサンゴマなんですかねえ」
「それは2日後にわかることだよ。まあ、決勝を楽しみにしようじゃないか」
ブルースが笑いながら言う。
我々にとって、決勝はスペイン対オランダではない。パウル君とサンゴマの一大決戦なのである。