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交流戦から岡田采配が波に乗った!!
目の前の勝利にこだわり優勝を狙う。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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posted2010/07/05 12:25

交流戦から岡田采配が波に乗った!!目の前の勝利にこだわり優勝を狙う。<Number Web> photograph by KYODO

投手陣の配置転換によりチームが一気に目覚める!!

 ところが交流戦に入ると、投手陣の配置転換をきっかけにチームが大きく変わった。

 今季から救援に回っていた小松聖を先発に再転向。シーズン序盤戦、救援での好投も見せていた岸田護を後ろに回し、安定感を増していたセットアッパー平野佳寿とでコンビを組ませ、最後はレスターへとつなぐ勝利の方程式を確立した。レスターは現在、二軍落ちしているが、この方程式の中に組み込まれていた平野と岸田の安定感は目を見張るほどで、チーム全体にまで落ちつきをもたらすほどだった。

 さらに、開幕から調子が上がっていなかった坂口智隆が復調の気配を見せ始め、カブレラ、ラロッカの離脱をベテラン北川博敏が支えた。二軍から戻ってきた日高剛も勝負強さを発揮すれば、移籍組の荒金久雄、赤田将吾がそこに上手く絡んだ。4番を務めたT-岡田は、交流戦でMVPを獲得するまでの活躍ぶりを見せつけた。

交流戦は優勝したが、直後、再び不調になり……。

 交流戦優勝を受けて、岡田監督はこう話していたものだ。

「優勝なんか考えていなかったよ。岸田を後ろに回して、信頼できる3人が揃ったんは大きかったな。打線も上位、下位に関係なくチャンスを作れているし、タイムリーも出てる。戦いながら、手ごたえも感じてるよ。特に2回り目の12試合目くらいからな。選手も感じているのとちゃうかぁ。カブレラがいない中やったし、T-岡田も4番を務めたし、これからの方が長いのは分かってるけど、ホンマいろんな意味で収穫になったよ」

 交流戦後の出だしは決して良くなかった。

 日ハムに3連敗を喫し、交流戦で積み上げた貯金はすぐになくなってしまった。しかし、指揮官が交流戦が終わった直後から「まずはオールスターまで」とさらに選手に奮起を促したことで、シーズンの先を見てプレッシャーを感じるのではなく一戦一戦に集中することができるようになった。そこから、さらにチームは調子を上げていった。

 そんな時、楽天に3連勝。

 その3勝目は、不調にあえぐ金子千の完封勝利だった。

「金子はこの前の日ハム戦も内容は悪くなかった。打線と噛み合ってへんだけやったからな。まぁでも、3回完封して防御率4点台はないよ。ビッグイニングを作るからな。悪い時にどれだけ抑えられるかやろ」

【次ページ】 岡田監督の戦略はすでにリーグ制覇まで見通している。

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岡田彰布
オリックス・バファローズ

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