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みるみる連勝、みるみる連敗。
ヤクルト“ミルミル野球”を見逃すな! 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byTamon Matsuzono

posted2010/07/07 11:20

みるみる連勝、みるみる連敗。ヤクルト“ミルミル野球”を見逃すな!<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

 開幕以来、神宮で野球を観ていると、どうにも気になってしょうがないことがある。

 ミルミル。

 今年の神宮の外野フェンスには、去年まであった「UNIDEN」の広告がなくなり、代わりに左中間に「明治記念館」、右中間には「ミルミル」という広告が、青いラバーの上にぽつねんと書いてある。いわゆる自社広告というやつだ。

 野球界も不況なのだなぁと思いつつ、試合を観れば、バッターボックスに立つスワローズ選手のヘルメットにも「ミルミル」のステッカーである。紺地のヘルメットから浮き立つ赤と白の「ミルミル」の文字。手に汗握る緊迫した場面で、あのファニーな文字を目の当たりにして吹き出してしまったことは2回や3回の話ではない。

 今季のヤクルトは何故にそんなにミルミルを推すのだろうか。

 ちょっと調べてみると、ミルミルは'05年に発売中止になっており、今年の3月1日から新ミルミルとして発売を再開したのだとか。「たらちねの」と言えば母であると同じように、ヤクルトといえばミルミルである。その復活に対する力の入れ具合は、スワローズファンが大量に駆けつける本拠地開幕戦を「ミルミルデー」と銘打ってしまうぐらいなのだから推して知るべし。そう、誰が何と言おうが、今季のスワローズは「ミルミル」と共に闘うと決めたのである。

開幕直後のスタートダッシュも、みるみる最下位に。

 というわけで、ペナントレースの話に移る。

 今季のヤクルトは開幕戦を石川で落とすものの、その後、巨人、中日を相手に由規、村中、中澤、館山で4連勝とスタートダッシュを飾り、躍進に期待が持たれた。

 ところが。

 4月10日~14日までの阪神、広島戦で4連敗。

 同24日~30日までの横浜、阪神戦で5連敗(単独最下位に転落)。

 5月2日~8日まで横浜、巨人、中日戦で6連敗。

 極めつけが交流戦に入った5月12日~26日までで9連敗と、みるみるうちに負けを重ね、みるみるうちに最下位へと転落。選手の顔色はみるみる暗くなり、大人しかったヤクルトファンの血圧はみるみる上昇。高田監督は「無念」と辞任した。

 多くの人はその時点で思ったはずだ。ヤクルトはペナントから脱落したと。

【次ページ】 小川淳司監督代行就任で気がつけば6月は月間首位。

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