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日本代表はセットアッパーで勝負!?
WBC優勝への投手起用法を考える。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/02/20 10:32
昨年11月18日のキューバとの親善試合第2戦に先発した巨人・澤村。スライダーとフォークで3者連続三振を含む計4三振を奪い、2回を1安打無失点に抑えた。
WBC代表候補の投手陣の顔ぶれに、日本球界の現状がよく現れていると思った。15人の代表候補の中に、「守護神」と形容される抑え投手がいないのだ。山井大介、浅尾拓也(ともに中日)、牧田和久、涌井秀章(ともに西武)、森福允彦(ソフトバンク)は抑えで投げたことはあるが、いずれも経験値は低い。
◇山井が本格的にリリーフをまかされたのは昨年1年だけ。
◇浅尾は'11年に10セーブを挙げているが、岩瀬仁紀から抑え役を引き継ぐはずだった'12年、不調が長引いて29試合の登板にとどまっている。
◇牧田は'11年、守護神不在のチーム事情のためシーズン途中に先発から抑え役に転向し、涌井も'12年、1年間の期限付きで先発から抑えに転じているが、経験はそれしかない。
◇森福は'12年、抑え役のファルケンボーグが肩の故障でリタイアした5月から暫定的に抑え役をまかされているが、'11年まではセットアッパーの登板がほとんどだ。
“守護神”は外国人と顔役のベテラン選手の役割!?
それでは各球団の抑え役にはどんな選手が就いているのだろうか。'12年に10セーブ以上挙げた選手を紹介しよう。
巨人 | 西村健太朗 | 71.1回、3勝2敗32セーブ15 HP、防御率1.14 |
マシソン | 42回、2勝0敗10セーブ10 HP、防御率1.71 | |
中日 | 岩瀬仁紀 | 51回、1勝3敗33セーブ7 HP、防御率2.29 |
山井大介 | 101回、4勝3敗15セーブ16 HP、防御率1.43 | |
ヤクルト | バーネット | 54.1回、1勝2敗33セーブ4 HP、防御率1.82 |
広島 | ミコライオ | 58回、3勝5敗21セーブ18 HP、防御率2.79 |
阪神 | 藤川球児 | 47.2回、2勝2敗24セーブ4 HP、防御率1.32 |
DeNA | 山口俊 | 62回、1勝2敗22セーブ4 HP、防御率1.74 |
日本ハム | 武田久 | 54.1回、4勝4敗32セーブ7 HP、防御率2.32 |
西武 | 涌井秀章 | 63回、1勝5敗30セーブ4 HP、防御率3.71 |
ソフトバンク | 森福允彦 | 58.1回、2勝5敗17セーブ26 HP、防御率1.39 |
ファルケンボーグ | 23回、0勝1敗13セーブ4 HP、防御率1.57 | |
楽天 | 青山浩二 | 64.2回、5勝4敗22セーブ7 HP、防御率2.51 |
ロッテ | 薮田安彦 | 56.2回、1勝6敗26セーブ9 HP、防御率3.34 |
オリックス | 岸田護 | 52回、4勝2敗18セーブ7 HP、防御率2.42 |
この中で成績、チームの信頼度とも盤石と言える選手は藤川くらいしかいない。目立つのは外国人選手と全盛期を過ぎたベテラン投手で、抑え役にくらべるとセットアッパーには勢いのある投手が目立つ。