南ア・ワールドカップ通信BACK NUMBER
日本代表、ベスト16進出の原動力。
本田圭佑“ビッグマウス”の真意。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byFIFA via Getty Images
posted2010/06/26 12:30
ハーフタイム、本田の頭をポンポンと叩いた中村俊輔。
デンマーク戦のハーフタイム。前半17分に先制点となる約30メートルのスーパーFKを決めていた本田を、笑顔で出迎え、頭をポンポンと叩いたのは中村俊輔だった。
この1年弱の2人の関係を思い返すに、この光景はある意味、感動的でもあった。チームが一丸となり、勝利に向かってまい進していることを示すものだからだ。
その背景にあるのは、やはり本田の成長だ。24時間をサッカーに注ぐプロフェッショナル魂で、自身を伸ばしてきた本田は、18歳で名古屋グランパスエイト(当時)に入団してからというもの、FK練習はほぼ毎日行い、それはCSKAモスクワに移籍してからも続いている。
シュート練習は足だけではなく、ヘディングにもしっかり取り組んでいる。生粋のストライカーでないことを考えると、極めて珍しい光景と言えるだろう。
また、元々「和」を強みとしていた岡田ジャパンだが、親善試合4連敗など一時の沈滞ムードを乗り越えたことで、一層の強さを身につけた感がある。
南アでの3週間、「個」と「組織」が共に成長した日本代表。
デンマーク戦、岡田ジャパンの極上のチームワークは、キックオフ前から見えていた。試合前の円陣では、何人もの選手がほとばしる思いを口にし、なかなか輪が解けずに審判に注意されるほどだった。
試合終了の瞬間には、ピッチに青い歓喜の輪ができた。ほどなくベンチから森本貴幸が猛ダッシュで駆けより、輪に加わった。そして、森本のすぐ後には中村俊輔が走っていた。
そして試合後のミックスゾーンでは、長友佑都が、大勢の記者を前に喜々とした表情を浮かべ、興奮気味に質問に答えていた。
「やべえ、今、最高です。チームが本当に1つになって、その中にいられるということは、本当に幸せです」
長友の後ろを、笑顔の中村憲剛が拍手をしながら歩いて行く光景も印象深かった。
本田、長友をはじめとする個の力、そしてチームの和をベースとした組織力がともに成長したジョージでの3週間。サムライブルー快進撃の拠点での練習は、26日が最後となり、チームは27日にパラグアイ戦の地、プレトリアへ向かう。