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WBC3連覇に立ちふさがる難題とは?
“強運”山本浩二監督が抱える悩み。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT
posted2012/10/15 10:30
紆余曲折の末、第3回WBCの監督に就任した山本浩二。2005年に広島の監督を退任して以来7年間のブランクはあるが、「勝利に向かっていく」と3連覇への意気込みを語った。
MLBの熾烈な生存競争を考えれば不参加もやむなし!?
これは二人だけではなく、ニューヨーク・ヤンキースとの再契約が確実な黒田博樹投手や、ヤンキース残留の可能性も出てきているイチロー外野手についても同じだ。またシアトル・マリナーズの岩隈久志投手や川崎宗則内野手、ピッツバーグ・パイレーツの高橋尚成投手らも、それぞれの立場で決断を強いられるのだ。山本監督が出場の可否を調査中と語った松井に関しても、不透明な部分は多く、実際には参加は厳しいと考えざるを得ないだろう。
過去2大会のイチローのようにチームで絶対的なポジションを確立している選手は、極めて特別な例なのだ。ほとんどのメジャーリーガーたちは、基本的には熾烈なポジション争いを強いられ、チームは決して出場を積極的にはバックアップしない。そういう立場を考えれば、おいそれとは「日の丸のために」と集結できないのが現状であり、侍ジャパンの編成でもそのメジャーの壁を突き破ることが一番の難関となるわけである。
ひょっとしたらほとんどのメジャー組が不参加の中で、代表チームを編成しなくてはならない可能性も出てくる。その中で3連覇という十字架を背負っての船出なのである。
侍ジャパン参加の可否は山本監督の人徳と運次第!?
「あの人なら球界がまとまる」
監督選びが難航する中で、元中日監督の落合博満さんもこう太鼓判を押したのは、山本監督の球界における人望の厚さだった。
山本監督には運と、そして徳もあるということだろう。
「こういう戦いで一番大切なことはチームが一つになること。全員が気持ちを一つにしてゴールに向かっていく。そういうチームにしたい」
就任会見で、侍ジャパンの理想をこう掲げた新監督。過酷な条件の中で何人のメジャーリーガーが集まってくれるか。それはもはや運としか言いようがないかもしれない。そして限られた選手を一つにまとめ上げ、三たびの頂を目指すには徳がなければならない。
山本監督に期待するのは、まずそこだと言ったら言い過ぎだろうか……。