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清武弘嗣が移籍早々に見せた、
ドイツで成功するための2つの条件。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/07/20 10:32
入団会見で「Nennen Sie mich “Kiyo”」(僕のことをキヨと呼んでください)と挨拶。チームメイトからも早速、“Kiyo”と呼ばれている。子供たちにも人気だ。
新しく海外のチームに移籍した日本人選手にとって、大切なのは初めの一歩を正しく踏み出すことだ。ニュルンベルクにやってきた清武弘嗣の第一歩は、どうだったのだろうか。
移籍の理由について、清武は入団会見でこのように説明した。
「日本で結果を残したからっていったらおかしいかもしれないですけど、出来ることはしましたし、セレッソでエースという立場でやらせてもらって、新しく環境を変えて一からスタートしたいという気持ちがありました」
セレッソや日本のA代表、あるいは五輪代表での活躍はドイツでも知られており、加入前から開幕スタメンを予想する声もあがっていた。入団会見のあとに行なわれた練習では清武にファンの視線が熱く注がれていた。
「うわ、ヒールキックだ!」
「スペイン代表のTiki-takaスタイルみたいだ」
「イマジネーションがある選手だなぁ! ギュンドガンを思い出すよ」
そんな歓声がファンからあがった。
Tiki-takaというのは、ちょうどスペイン代表やバルセロナのように細かく動きながら、ショートパスをつないでいくスタイルのこと。
現在はドルトムントに所属するドイツ代表のギュンドガンの名前が挙がったのは、2010-2011シーズンまでニュルンベルクでプレーしていたからだ。一時はマンチェスター・ユナイテッドが獲得に興味を示していた。ファンの目には、そうやってビッグクラブにステップアップ出来るレベルの選手であると映ったようだ。
初参加の練習試合で、いきなりゲームメーカーに君臨。
初めて練習に参加した3日後に、4部リーグ所属のバンベルクとの練習試合が組まれた。清武にとって、ニュルンベルクの選手として初めて挑んだ対外試合だ。清武は4-2-3-1の3の真ん中、トップ下のポジションで後半から出場すると、いきなり1ゴール、1アシストをマークする活躍を見せる。後半16分に生まれた移籍後初ゴールは右サイドのチャンドラーからのクロスに頭であわせたもので、後半26分のアシストは、相手のクリアミスを拾った清武が少しキープして時間を作り、FWヌガンカムへ出したスルーパスによるものだ。
一目でわかる結果を残したことで、清武のもとに次々とボールが集まるようになった。ゲームを支配するようになったのだ。