スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
最強チームの弟分はやはり最強?
スペイン五輪代表を解剖する。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byREUTERS/AFLO
posted2012/07/13 10:30
五輪代表期待のアタッカー、ムニアイン(右)。EL、国王杯で決勝に進出するなど欧州に衝撃を与えた新生ビルバオの象徴だ。
絶対的エースのロペスはEUROの無念を五輪で晴らす。
最後にFWだが、フル代表が試行錯誤の末にゼロトップに落ち着いた先のEUROとは違い、ロンドン五輪ではこのポジションが議論の的になることはないだろう。サイドでもCFでもプレーできる万能ストライカーのアドリアン・ロペスは、EURO前に得点源ダビド・ビジャの欠場が決まった際、ビジャの代役に最も相応しいFWだと言われた。ラ・ロヒータの絶対的エースとして五輪に挑む彼は、EURO出場が叶わなかった悔しさを胸に秘め、昨年の欧州選手権に続く得点王獲得を目指す。
攻撃に変化を加える切り札としては、爆発的な加速力を生かしてサイドを切り割くクリスティアン・テージョも面白い存在だ。彼はヘスス・ナバス的ジョーカーとして勝負どころで起用されることになるだろう。
今月6日にラス・ロサスで合宿をスタートしたチームは、13日にセネガル、同18日にメキシコと親善試合を行う。最終メンバー18人に絞り込まれるのは、ロンドン入りする21日。現段階で既にボージャン・クルキッチ、ディエゴ・カペル、ダニエル・パレホら同世代を支えてきた選手が落選しているだけに、さらに4人を削る作業は簡単ではない。
いずれにせよ、26日にハンプデン・パークのピッチに立つ11人が金メダルの最有力候補であることだけは間違いない。その相手に対して、日本代表はどんな闘いを見せてくれるだろうか。