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ホジソン監督への期待値は過去最低。
重圧なきユーロでのイングランドの利。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/06/05 10:31

ホジソン監督への期待値は過去最低。重圧なきユーロでのイングランドの利。<Number Web> photograph by AFLO

国民は新監督ロイ・ホジソンに「good luck」とエールを送る。結果を求めるというよりも、ベストを尽くせという期待値の低さはチームにとってプラスに働くか。

ルーニー不在の2試合を乗り切る、実用主義的な人選。

 中盤の人選にも、ホジソンならではの実用主義が覗える。MF8名は多すぎるという声もあるが、うち4名はウィンガーだ。新監督が得意とする4-4-2システムと、前監督下で成果が見られた4-3-3の併用を考えているとすれば、3トップのサイド起用も考慮した選出として理解できる。

 アレックス・オクスレイド・チェンバレンは、18歳での大抜擢だが、ホジソンは、アーセナルでも強心臓ぶりを披露した韋駄天を、ただの話題作りではない、実質的な戦力とみなしているはずだ。17歳だった6年前のW杯で、「見学者」に終わったセオ・ウォルコット(アーセナル)の二の舞はないと見る。中央では、どっしりと構えるセンターハーフを好む指揮官の下、故障中だったにもかかわらず呼ばれたスコット・パーカー(トッテナム)と、念願のキャプテン指名を意気に感じているはずのスティーブン・ジェラード(リバプール)がレギュラー格だろう。

 前線には、23歳のアンディ・キャロルが招集された。昨年のリバプール移籍以来、調子の波に乗れずにいるが、終盤のリーグ戦でチェルシーDF陣を力で圧倒するなど、前向きにシーズンを終えている。サイドからのクロス、後方からのロングパスに高さと強さで反応できれば、アラン・シアラーの後継者として頭角を現わした、ニューカッスル時代の輝きを再び放つだろう。ルーニー不在の2試合はもちろん、復帰後も、トップ下を好むエースとのコンビで先発の可能性は高い。

重圧なき環境で戦えることが優勝の目を呼び寄せる!?

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 最前線には、12年前に代表を去ったシアラー以来となる強烈なヘディングシュートの使い手がおり、最後尾にはデイビッド・シーマン以来10年ぶりに、ジョー・ハート(マンC)という25歳の絶対的な守護神がいる。スピードとパワー、そして若いエネルギーとベテランの経験値のバランスも悪くはない。グループ内最大の敵である、フランスを怯ませるようなチームではないが、警戒心を抱かせるレベルにはある。

 加えて、2年前のW杯後、パフォーマンス改善も世代交代も思うように進まなかったチームを、就任が予想されていなかった新監督が率いる今回の代表は、間違っても優勝など期待されていない。グループステージ突破に成功すれば、例年は過度の期待をかける国民にも評価されるだろう。

 そして、スウェーデンとウクライナを手堅く捌いて、グループ2位ででも決勝トーナメント1回戦に進むことができれば、スペインかイタリアとの苦戦が予想されるにしても、国際大会ではEURO1996以来最高のベスト4まで、あと1勝だ。同大会で得点王となり、現在はBBCテレビで解説を務めるシアラーも、大会中継の番組宣伝で言っている。「期待値は過去最低。意外と優勝のチャンスかもしれないぞ!」と。

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