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新人王有力候補のダルビッシュに、
早くも囁かれ始めたサイヤング賞。 

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渡辺史敏

渡辺史敏Fumitoshi Watanabe

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photograph byGetty Images

posted2012/05/31 10:32

新人王有力候補のダルビッシュに、早くも囁かれ始めたサイヤング賞。<Number Web> photograph by Getty Images

サイヤング賞の受賞は、レンジャーズとの契約にも深く関わる。もし同賞を獲得し、その他の年も同賞の上位候補になれば、6年契約のところを5年契約で他チームに行く権利を得られる。さらに魅力的な球団へ早く移るチャンスも、この賞次第ということ。

完全復活を遂げたストラスバーグとの投げ合いに注目。

 一方、老舗スポーツ誌スポーツ・イラストレイテッドのコラムニスト、トム・ベルドッチ氏はウェブ版のコラムで現在最も勢いのある選手の5位にダルビッシュを選んでいる。ちなみに1位は同じレンジャーズで1ゲーム4本塁打を記録するなど打撃が絶好調のジョシュ・ハミルトン。

 ダルビッシュをはじめ、ナショナルズのブライス・ハーパーなど5人中3人は若手選手で、同氏は3人がまだシーズンを通してプレーした経験がないことを認めながらも、その“新しさ”が彼等の存在感を強めることにつながっていると指摘している。やはり最初に印象づけに成功したことは大きいようだ。

 そして同氏は今最も魅力的な投手対決はダルビッシュとナショナルズのスティーブン・ストラスバーグの投げ合いだろうとしている。23歳のストラスバーグは2009年ドラフトで1位指名され、全米から注目を集めた逸材であり、怪我から完全復活した今シーズンは5勝1敗とやはり好スタートを切っている。

 ダルビッシュについては「運動能力と創造力にすぐれた注目の投手」とやはり高い評価をしているだけでなく、「彼が登板する限りレンジャーズのテレビ中継視聴率は上がり続けるだろう」と既にアメリカ、特に地元での人気が高まっていることも取り上げていた。

ロードでも好投を見せるダルビッシュの実力は“想定内”。

 さらに好スタートについて本拠地で無傷の4連勝を飾った先発投手、という視点から見た記事を書いたのがスポーツ誌スポーティング・ニュースのクリス・バー氏。

 4連勝した投手は6人いるのだが、同氏はダルビッシュをエンゼルスのジェレッド・ウィーバー、ブルージェイズのリッキー・ロメロと共に「驚きのない3人」に選んでいる。“驚きのない”とはつまり、予想通り、実力どおりということで、それだけ事前評価が高かったということだ。

 特にダルビッシュについてはウィーバーやロメロほど洗練されてはいないものの本拠地でもロードでも防御率が変わらない点を高評価している。本拠地での有利さを基本にした記事でこうした評価を得ていることは特筆すべきだろう。ただし同氏は本拠地では低い四球率がロードではほぼ倍増する点も指摘している。

【次ページ】 雨での中断にも続投を志願したガッツにも高い評価が。

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ダルビッシュ有

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