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女子バレーが五輪で狙うは金メダル!
“IDバレー”で世界最終予選に臨む。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byMichi Ishijima
posted2012/05/18 10:30
眞鍋監督のもと、「団結力」を高めてきた代表チーム。今予選で、真鍋監督は開催国に与えられる、2試合の指定権を使い、ラストに欧州チームとの対戦を選択した。
バレーボールのロンドン五輪世界最終予選開幕が近づいた。
まず最初に女子が、5月19日から27日まで行なわれる。
出場権獲得の仕組みは、やや複雑だ。
参加8カ国の中で3位までに入ること。ないしは日本を含め、アジアから出場する4カ国の中で1位になること(3位以内にアジアの国が入れば、その国を除いてアジア1位)。
このような仕組みになるのは、アジアに与えられた大陸枠の予選と世界の最終予選を兼ねた大会であるからだ。
6月1日に開幕する男子の場合は、8カ国中1位かアジアの国で1位だから、女子の場合、出場権獲得はやさしいように思える。
ただ、目標とするロンドン五輪でのメダル獲得のためには、出場権を得ることにとどまらず、内容が問われる大会となる。
チームに求心力を与えた眞鍋監督の「IDバレー」。
全日本女子は、北京五輪後、充実の一途をたどってきた。
2010年の世界選手権では、同大会では32年ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得。昨秋のワールドカップでは4位だったものの、終盤に調子を上げて、世界ランク1位のブラジル、2位のアメリカを撃破。地力が上がっていることを示した。今年1月には、世界ランクも3位に上がった。
かつて全日本女子は、1964年の東京五輪、1976年のモントリオール五輪での金メダルをはじめ、世界の強豪の一角を占めていたが、'80年代以降、低迷が続いた。2000年のシドニー五輪で出場を逃した頃がどん底だったかもしれない。
その後、柳本晶一監督就任とともに建て直しが進み、アテネ五輪は出場を果たすものの、準々決勝で敗れ、世界の上位国にはまだ通じないという現実を思い知らされた。
そうしたチームを上昇気流にのせたのが、2009年に就任した眞鍋政義監督である。
眞鍋監督は、まず「IDバレー」を導入する。試合中、専門のスタッフを会場内に配置し、相手の選手の攻め方、日本の選手のスパイクの成功率など多彩な情報を収集。iPadで情報をリアルタイムに把握し、試合中、選手に指示を与えたのだ。データに基づく指示は選手への説得力ともなり、チームに求心力を生んだ。