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世界選手権連覇の浅見が初戦敗退。
それでも公平な柔道五輪代表の選考。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJun Tsukida/AFLO SPORT
posted2012/05/16 10:31
柔道ロンドン五輪代表が体重別選手権の最終日に勢揃い。下段左端から福見友子、中村美里、松本薫、上野順恵、田知本遥、緒方亜香里、杉本美香。上段左から平岡拓晃、海老沼匡、中矢力、中井貴裕、西山将士、穴井隆将、川上大樹。全14人で、このうち五輪初出場が12人に上るなどフレッシュな顔ぶれとなった。
拮抗する実力者同士の戦いを制した、中村の冷静さ。
一方の52kg級の決勝は、中村と西田、実力者同士の対決となった。
この2人の対戦は、いつも拮抗した戦いとなる。中村が苦戦するのは、西田が先に仕掛け、受け身にまわりがちなことにあった。
だからこの日、中村は対策を練り、自ら先に攻めようという姿勢を見せた。
試合途中まではそれが功を奏したが、半ばからは西田が先手を取り始める。いつもの展開だ。だがそれでも中村はペースを崩さなかった。
「焦ってしまうと空回りをするけれど、平常心を保つことができました」
落ち着いた試合運びで、ゴールデンスコアに入り、抑え込んで一本勝ちを決めた。
西田の出来が悪かったわけではない。むしろ、1回戦から連続一本勝ちするなど、調子のよさが目立っていた。だからこそ、中村のここいちばんでの落ち着きが目立った試合だった。
明確な選考基準を採用した結果、真の強者が代表に。
大会が終了して約3時間後、試合会場の隣のホテルに設けられた会見場で男女各7名、計14名の代表選手が発表となった。
五輪経験者は、男子60kg級の平岡拓晃、女子52kg級の中村美里の2名。12名は初出場という顔ぶれになった。
選考自体も、大きな違和感のないものだったように思える。
北京五輪のときは、女子の7階級中、全日本選抜体重別選手権で優勝した選手は2名でしかなかった。残りの階級は「実績」によって代表が選ばれた。
今回は、女子7階級中6名が今大会の優勝者であり、北京では7階級中6名が優勝者だった男子も、7階級中5階級が優勝者の選出。
見方をかえれば、国際大会で結果を出してきた選手が順当に優勝する階級が多かったということでもある。