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レアルとアヤックスの「顧客」は誰か?
利益モデルが企業を特徴づける。 

text by

葛山智子

葛山智子Tomoko Katsurayama

PROFILE

photograph byBongarts/Getty Images

posted2012/05/15 10:30

レアルとアヤックスの「顧客」は誰か?利益モデルが企業を特徴づける。<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

1992年にアヤックスの下部組織に入団したスナイデルは、2012年にトップチームデビュー。5シーズン在籍しゴールを量産した。2007年にレアルへ移籍。2009年にインテルへ移籍後はセリエA5連覇、イタリア史上初の3冠達成に貢献している。

利益モデルに必要な2つの視点。

 読者が利益モデルを考える際には、少なくとも次の2つの視点を考慮してほしい。それは、

・誰に対してどのような価値をいくらで提供していくのか(売上)
・その活動(プロセスや必要な経営資源)をどの程度のコストで行うことができるのか(費用)

 である。

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 前述アヤックスの事例をみてきたように、この段階では「顧客は誰か」について考えることが最も重要になる。その理由は、顧客を誰と規定するかによって、以下の「売上を考える際の3つの視点」が大きく左右されるからである。

(1)顧客基盤(顧客数)を拡大する
(2)顧客の購入頻度を増大する
(3)顧客単価を上げる

コストをいかに使いこなすか。カットするだけでは限界がある。

 次にコストについても見てみよう。コストを抑えるというと、コストカットをイメージする読者が多いと思うが、コストカットするだけでは限界がある。企業では、投資することにより活動が維持・拡大されるため、一定のコスト(投資)は必要となる。そこで重要なのは、その投資にかかる費用をどのように使いこなすかである。そのためには、以下の2つについては最低限考えておく必要がある。

(1)自社にとってかけるべき「固定」コスト、つまり投資に値する「固定」コスト(資源)は何かを理解する
(2)その固定的なコスト(資源)をどのように効果的に使うか。他にもよい活用の道がないか考える

 これを先述2チームに引きつけて考えると、レアルは「選手」という固定コストに集中投資し、このスター選手を様々な形でレアルの収入に貢献できるようにしている。一方アヤックスは、全く別のモデルをとる。選手獲得に大きな投資をするのではなく、育成システムそのものに投資し、できるだけ多くのスターの卵が巣立っていくように育成システムという固定的コストを最大限活用しているのである。どちらも、それぞれの「固定」費用を徹底的に活用していることがわかるであろう。

 独自の利益モデルにこだわり、考え続けるものにこそ、勝利の女神はほほ笑む。だからこそ、筆者もこのコラムを通して戦略・マーケティングの基礎概念を伝え、読者と一緒に考え続けたいと思っている。

 次回は、利益モデルについての理解をさらに深めるために「顧客を増やす仕組み」について、「プラットフォーム戦略」に触れながら考えてみたい。次回もスポーツの事例とともに解説をするが、「プラットフォーム戦略」はグーグルやアマゾン、フェイスブックの勝ち方の基盤でもあるので、楽しみにしていてほしい。

今回のポイント

◆競合と同じ戦略では戦わない。独自の戦略にこだわる
◆独自の戦略を考える際に肝となるのは「利益モデル」の策定である
◆利益モデルを設定する際には、「顧客を誰にするのか」を考えることが重要である

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#レアル・マドリー
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#ウェスレイ・スナイデル

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