フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
格闘家の山本“KID”徳郁が目標!?
男子プロゴルフ界、異色の新人たち。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTetsuhiro Sugimoto/AFLO SPORT
posted2012/04/26 10:30
4月12日から行われた東建ホームメイトカップには、ルーキーの浅地洋佑、川村昌弘、藤本佳則の3人も出場した。全員が予選通過を果たし、通算成績は浅地(写真左)が+1の51位、川村が-3で26位。藤本(写真右)は-10の単独7位でフィニッシュ。ルーキーが開幕戦でベスト10入りしたのは2008年の石川遼以来2人目となった。
「若手が盛り上げて女子みたいに世代交代をしていかないといけない」
なんのてらいもなくこんなセリフを言い切ってしまう。それだけでこれまでとは違う感覚を抱いた世代であると感じさせてくれる。発言の主は浅地洋佑。今春、杉並学院高を卒業したばかりのルーキーである。
女子は宮里藍の登場以降、毎年のように新しいタレントが台頭してツアーの風景を一変させた。次々に現れる若い選手はファン拡大にも大きく貢献した。
一方で男子はというと、石川遼に続いて池田勇太、薗田峻輔と単発で活躍する選手は出てきても大きな勢力になるというほどではなかった。だが、今季は少し違うのではないかという期待もある。先の浅地に川村昌弘、藤本佳則を加えたルーキートリオがいるからである。
タイガーともラウンドを回った浅地は今田竜二が目標。
この3人、それぞれに個性的なのだが、目標とする選手に各人のキャラクターがよく表れているように思える。
浅地の場合は卓越した小技を武器に米ツアーで活躍する今田竜二の名前を挙げる。
「自分の武器はショートゲーム。あとは飛ばないけど曲がらないドライバー。そこでアドバンテージが出ると思うので、それを生かしていきたい」
小学1年生の頃から通う東京都杉並区の練習場「ハイランドセンター」にはショートコースが併設されていた。そこで練習するうちに自然とサンドウェッジの技術が磨かれた。いつか今田のように小技を生かして海外で活躍できれば。そんな夢を抱いている。
気持ちの強さも魅力のひとつ。開幕戦初日のスタートホール、浅地はかつてない緊張感に襲われたという。
「むちゃくちゃ緊張しました。タイガーとラウンドしたとき以来(一昨年11月にテレビマッチで共演)の緊張感で、プロとして試合に出るという気持ちの違いが実感できました」。 ところが、スコアを見てみれば、このスタートホールはバーディー。「うまくパットが吸い込まれました」と笑う物怖じしない性格は、実にプロ向きなのである。