“青木功流”に憧れる川村は欧州ツアー参戦を目指す。

　そんな浅地が「同級生だし、プロでは同期でもある。中学生の頃から一緒に練習ラウンドをしていたし、彼に対しては負けたくないという気持ちはある」と対抗心を燃やすのが、同い年の川村昌弘だ。

　浅地が直情型なら、川村はどこまでも沈着冷静。浅地がライバル心を語っている横を通りがかっても、「あ、どうもお疲れさまでした」と丁寧に腰を折ってお辞儀して、飄々と立ち去っていく。そんなタイプである。ただし、話を聞いてみると朴訥とした雰囲気の中にも熱いものが感じられるのだ。

　目標とするのは青木功。

「青木さんは“青木功流”というか、独特の感性をもっている。自分も他の人にはない“川村昌弘流”を目指してきた」

　その流儀は特にショットにあると川村はいう。

「昔から独学でやってきて、最近（の若い選手）では珍しく球を抑えたりしながらプレーするタイプだと思う。だから川村流のポイントはショットですね」

　たまに推薦を受けて一戦入魂でツアー出場するアマチュアよりは、毎週試合があるプロの方が気楽だという。「将来は世界中のゴルフ場でゴルフがしたい。そういう意味では僕はアメリカより欧州ツアーでゴルフがしてみたいです」という憧れのベクトルも確かに最近では珍しい存在かもしれない。

“ごんたくれ”な藤本の尊敬する人物は総合格闘家!?

　そしてもう一人の注目ルーキーが東北福祉大を卒業した藤本佳則である。

　プロ転向前は世界アマランクで10位以内をキープしていたし、マスターズに2年連続出場した松山英樹でさえ強く意識するような先輩でもあった。浅地や川村よりは年齢も、積み上げてきた実績も上の藤本。浅地も「藤本さんはアマチュアの頃から尊敬するプレーヤー。まだ僕が意識するレベルではない」と話している。

　上背はないが、筋肉質の体つき、負けん気の強そうな顔立ち、少しえり足を伸ばした髪型も含め、いかにもごんたくれといった風体だ。

　目標とする選手はゴルファーではなくファイター。総合格闘家の山本“KID”徳郁である。

　本人は「そう書いたら面白いかなと思って」と笑っていたが、あながち冗談ばかりではないだろう。

【次ページ】　ルーキーイヤーで勝つことも不可能ではないという自負。