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プレミアリーグ版“マネーボール”?
清貧クラブのニューカッスルが躍進。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/04/12 10:31

プレミアリーグ版“マネーボール”?清貧クラブのニューカッスルが躍進。<Number Web> photograph by AFLO

ニューカッスル今季最大のサプライズ、ハテム・ベンアルファ。昨年までの波のあるパフォーマンスから一転、ハイレベルなプレーを見せ続けている。

主力選手の引き抜きを防ぐには欧州参戦が必須条件!?

 効率の良い補強は、赤字と人件費の削減というピッチ外の成果も生み出した。昨季の経営赤字は390万ポンド(約5.1億円)と、現オーナーであるマイク・アシュリーによる5年前の買収時と比べると10分の1程度。収益に対する選手給与の割合も、安全圏と言われる6割に減少した。高利の負債は全て返済され、残るはオーナーによる無利子の融資のみ。監督人事やスタジアム命名権販売でファンの非難を浴びたアシュリーだが、クラブ財政を立て直した経営手腕は、誰もが認めざるを得ない。UEFAによるファイナンシャル・フェアプレー規則(クラブの収支バランスに関する規則)対応も問題なく、実際に欧州進出となれば、更に入場料収入と放映権収入の増加が見込まれる。

 しかしここまで進歩を遂げた以上、欧州参戦はチームを維持する必須条件になったとも言える。さもなければ、クルルとティオテを狙っているチェルシー、バに興味津々のアーセナルなど、格上による主力の引き抜きが予想されるからだ。

トップ10が目標だったチームにはEL出場も勲章になる。

 幸い、ヨーロッパリーグ(EL)出場権を得られる公算は大きい。4月半ばに準決勝が行われるFAカップで、最も可能性が低いエバートン優勝という結果にならなければ、残るリバプールはリーグカップ優勝者としてEL出場権を得ており、トッテナムとチェルシーもリーグ順位での欧州行きが濃厚なことから、FAカップ優勝者に与えられるEL出場権はリーグ6位のクラブにスライドするだろう。5月にはチェルシー、マンCとの対戦も残されているが、残り5試合の時点で7位に10ポイント以上もの差をつけたアドバンテージは大きい。

 CL常連には敬遠されるEL出場権も、トップ10が目標だったニューカッスルにすれば、価値ある今季の勲章であり、来季へのモチベーションとなる。パーデューも、「欧州行きを狙うのは来季のつもりでいたが、早めのチャンスを是が非でも掴みたい」と意欲的だ。資金力の差がそのまま順位に表れると言われるプレミアにあって、「持たざる者」の成功は、実に貴重な嬉しい誤算である。

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