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青春女子剣道映画に主演した
成海璃子さん。
~『武士道シックスティーン』映画化~
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byMiki Fukano
posted2010/04/17 08:00
中学生チャンピオンながら、市民大会で無名の選手に負け、悔しさを忘れられずにその選手と同じ東松学園高校に入学する剣道の鬼、磯山香織。その相手選手で、実績もなく性格もおっとりだが、天性のものを持っている西荻早苗。同級生になった二人は、性格も正反対でぶつかり合うこともしばしば。だがやがて互いを認め合い、インターハイを目指して頑張っていく――。
誉田哲也さんの青春剣道小説『武士道シックスティーン』がこのたび映画化される。磯山香織役の女優成海璃子さんに話を聞いた。
原作を読んで「面白くてすぐやりたいと思いました」。
――原作を読まれて、是非この役をやりたいと思ったそうですね。
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「はい、面白くてすぐやりたいと思いました。自分が磯山だったら西荻は誰だろう、と想像しても、あまり思い浮かばなくて。でも北乃きいさんて聞いたときは、すごくナイスと思いました」
――剣道に対するイメージは。
「メンとかコテもあまり知らなくて、イメージすら自分の中にはなかったです。本当にまっさらの状態から入ったので、あまり考えずにやれました」
――いちばん大変だったことは。
「みんなと一緒に稽古をしたとき。もろに体育会系だし、集団行動があまり得意でなく、スポーツもほとんどやったことがないので、しんどかったです。膝や脛を痛めたりもして。でもやるしかないので、袴の下にはテーピングをして、ガムシャラにやってました」
「北乃さんのことも西荻早苗として見ていた」
――磯山香織は、ひと言で言うとどういう存在なんでしょう。
2010年4月24日(土)、テアトル新宿ほか全国ロードショー 監督:古厩智之 主演:成海璃子、北乃きい
www.bushido16-movie.com
「全然天才じゃないです。だからやりたいと思いました。今回の役は自分にとって特別で、現場でもこれじゃ磯山が可哀相だよとか、これは磯山じゃないとか、何でも磯山基準で動いていました。クランクアップの日なんか、明日から何をしようかな、と思ったりして」
――香織になり切っていた。
「今思うとずっと引きずっているところがあったかも。撮影の合間に北乃さんとかみんなが元気に騒いでいても、自分はそこに入り込まないように……というわけではないですが、きっと北乃さんのことも西荻として見ていたんでしょうね。役柄の関係のままだったかもしれない。だから正直、自分の中ではあまり楽しい現場ではなかったんです」
――撮影中のことをあまり憶えていないそうですが、それは入り込んでいたから。
「入り込むというより、何も考えていないんですよね。脚本って全部活字じゃないですか。活字の裏にはいろいろな感情があるわけで、それが現場で全部出てくる。その感情がいちばんリアルなんです。だから、セリフをしゃべっているという意識はあまりなくて、ただ思ったことが自分の中で湧き出てくるというか……」
同席した原作者の誉田さんが「台本が予言の書みたいですね」と言うと、「たしかに予言だ……」とうなずいた成海さん。もしもう一度この役を、と言われたらどうするかとの質問に「やりたいです! 他の誰かが磯山をやるなんて信じられない」と答えた笑顔が印象的だった。
文藝春秋BOOKS
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