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錦織圭の全豪ベスト8でブーム再燃!?
トップ4選手に見るテニスの英才教育。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2012/02/06 10:30
全豪で活躍後、帰国した折りの記者会見で自らの目標を明確にアピールした錦織圭。「2~3年後にはグランドスラムで優勝したい。(中略)アジア人の体は25~26歳がピークだと言われています。自分は早くからアメリカでいろいろ経験をしている分、他の人よりは有利だと思っている」
錦織圭が全豪オープンでベスト8に進出したことで、どうやら日本でもテニス・ブームが再燃しそうな予感がする。
今後、錦織がグランドスラムでコンスタントに準々決勝以上に進むようになれば、
・地上波での放送
・テニスの競技人口
が増加に転じることは疑いない。
現在、テニスと言えばWOWOWの印象が強い。グランドスラムだけでなく、2月10日から始まるデビスカップなど、テニスを長い時間かけてソフトとして育成してきた。
地上波で中継すれば将来、錦織以上の強豪日本人選手も!?
しかし錦織の活躍で、地上波の放送局も中継を考えるようになるのではないか。そうなればさらにテニスファンが増えてくる。
問題は、先日のジョコビッチとナダルの決勝が6時間に及ばんとする長丁場となるため、番組編成がむずかしいことだ。
松岡修造氏が活躍しているテレビ朝日あたりは、放映権の獲得を検討するのではないだろうか。
そうなればテニスの競技人口も増えてくるはずだ。しばらくラケットを握っていない50代の人も、「健康のため」再開する人がいるだろう。現在、全国的に見てテニスクラブは減少しており、将来的にジュニアの育成に不安を抱えている。競技人口がまた増えれば、クラブの経営が安定し、育成にも力が入るだろう。
育成が重要なのは、現在、男子のトップ4の選手たちが、かなり幼少期からテニスを始めている事実があるからだ。
全豪王者・ジョコビッチは4歳でラケットを握った。
早く始めた者が有利――。
頭では分かっているが、彼らの経歴を見ると納得せざるを得ない。では、全豪チャンピオン、ジョコビッチから見ていこう。
●ノバク・ジョコビッチ (セルビア)
4歳からテニスを始め、6歳からモニカ・セレス、ゴラン・イワニセビッチをコーチしたジェレナ・ジェンシッチに師事する。
そして12歳でドイツのミュンヘン郊外にあるニコラ・ピリッチ(出生当時はユーゴスラビアだったが、現在でいうとクロアチア領出身)のテニスアカデミーに留学し、そこでプロとしての歩みをスタートさせた。