プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ポスティング制度が生む残酷な格差。
中島、青木を襲うMLBバブルの崩壊。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/01/07 08:01
テキサスを訪問し、周辺環境を視察するなどレンジャーズとの交渉を続けているダルビッシュ有(左)/交渉の難航が伝えられていた中島は、ライオンズ残留となった(右)
希望条件を通せるFA移籍を選択した川崎は勝ち組!?
もともとポスティング制度は、1年でも早くメジャーでプレーしたいという選手の思惑と、どうせ出ていくなら何らかの補償が欲しいという球団の思惑が一致して作られたものだった。ところがアメリカのバブルが弾け、日本人選手(特に野手)の評価が下がってきた時点で、この制度のもたらす選手へのメリットは次第に少なくなり、むしろデメリットの方が大きくなってきているように思える。
1年でも早くではなく、少し待つことで自分の価値を高めて、思った形で移籍を実現できる可能性が広がる。ならば海外FAの権利を取得するまで待っても、損はないはずだ、と前出の代理人は指摘するのだ。
その好例が、今年のオフに一人いる。
ソフトバンクから海外FAを使ってシアトル・マリナーズとマイナー契約を結んだ川崎宗則内野手だ。
「イチロー選手と同じチームでのプレーだけを希望します――」
じっくりと時間をかけて自分の夢を実現する。この川崎のやり方は、これからの海外移籍の、一つのモデルケースになるはずである。