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歳末のアメ横、浅草、舎人ライナー!?
東京東半分、行き当たりばったり紀行。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2011/12/28 06:00
舎人ライナーはゆりかもめ同様、新交通システムなので、運転席が無人。ということで、一番前の席に愛車と共に座ってみた!
歳末の上野アメ横だ。
例のだみ声で「安いよ、安いよ、安いよ」の声が響き渡る。
お、カニだ。今年はどうなの? と聞くと「見ての通りだよ」という。
「ウチは国産しか扱わないから変わらないけど、海外物は乱獲の影響が出てるね。卸す方が強気で高めだね」
昆布は?
「昆布は高い。一言でいってブツが回ってこない」
この年末、忙しいアメ横おじさんにあまり聞くのもどうかと思うんで、すぐに切り上げてしまうんだけど、この2011年という歴史に残る年の終わり、震災の影響は大なり小なり出ていた。
テレビでお馴染み、ちょっと変わった口調の流通ジャーナリスト、金子哲雄さんに言わせると「やはり震災の影響で家族回帰、すなわち“家食”がこの冬のトレンドです」とのことだ。
特に鍋。だからこうしてアメ横も賑わう。
「鍋は、家族全員で囲むことができ、心と体を温めることができるということで、今年は大ヒットです」
で、今年の流行りは「バラエティつけだれ」なのだそうだ。
これは様々な世代がそれぞれの好みで鍋を食べることができるように、ということだそうで、じつは鍋の食材自体にはそれほど変化はない。白菜、昆布、大根、椎茸、鶏肉、魚肉、ほか、定番ばかりだ。
だから、つけだれによって、変化をつける。
ポン酢系、ごまだれ系だけでなく、食べるラー油系、キムチ系、エスニック系など、色々あるんだそうで、これを選ぶことで家族全員が同じ鍋を囲める。
この日はまだ12月中旬(しかも平日)なのにもかかわらず、アメ横は人でいっぱい。なるほど。年末年始は鍋なのか。
毎年晦日のテレビ中継などで見る、相変わらずの光景に、何だかほっとし、しかし、あらゆるところで見るフレーズ「がんばろう東日本」に、今年という年と、やはり上野というお土地柄を見る気がする。
東北の玄関口・上野と、被災地は直結している。
ザ・下町で、猥雑で、江戸情緒で、べらんめえで……。
台東区という区は、良くも悪くもキャラの立った区といえるだろう。繁華街で、ザ・下町で、猥雑で、江戸情緒で、べらんめえで……。
そのキャラの立ちっぷりを象徴する繁華街が2つあって、ひとつはこの上野だが、もうひとつ、もちろん浅草だ。
この2つの街は東西に隣り合い、浅草通りでまっすぐ繋がっている。間には銀座線の駅が「稲荷町」「田原町」と2つあるけど、なんの上野・浅草間は自転車ですぐだ。
というわけで浅草に向かってみよう。
で、ただ一路行くのではあまりに近すぎて面白くないんで、ぶらぶらと回り道をしながらいくんだけど、不思議なことに気づく。「○○街」とでもいうべき地域がこの2つの街の間には多数あるのだ。