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歳末のアメ横、浅草、舎人ライナー!?
東京東半分、行き当たりばったり紀行。 

text by

疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2011/12/28 06:00

歳末のアメ横、浅草、舎人ライナー!?東京東半分、行き当たりばったり紀行。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

舎人ライナーはゆりかもめ同様、新交通システムなので、運転席が無人。ということで、一番前の席に愛車と共に座ってみた!

仏壇街に、食器街……なぜここには○○街が?

 たとえば「オートバイ街」。これは入谷にいたる北上野の一角。オートバイ関連ショップが、街道沿いにずらりと並ぶ。

 はたまた東上野の韓国物産街。韓国街といえば、今となっては新大久保、百人町の一角が有名だけど、実は“元祖・韓国街”といえば、この東上野、そして、後で出てくる三河島だ。

 キムチ好きの私にとっては、ホンモノのキムチが手に入るのはこの一帯しかない。ホンモノのキムチというのは、つまり日本人用に甘み(有り体に言えば砂糖だ)や旨味(同「味の素」だ)などを加味していない本格派のことだ。

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 さらにもう一つ、稲荷町のあたりには、実にマニアック(?)ながら“仏壇街”なる街も存在する。

 全国の仏壇業界にとって、この稲荷町仏壇街は一種のブランドであって、日本の仏壇の価格、動静は、この町で決まるのだそうだ。

 ここからちょっと南に行くと、岩本町周辺の「繊維問屋街」、浅草橋の「人形街(桃と端午の節句前には大賑わいだ)」などがあって、そうそう、そういえば、電気街転じてオタク街として、世界的に有名な秋葉原も、この界隈だ。

 中でも、見て楽しく、驚きが多いのが、浅草の真西にある「合羽橋」だろうか。ここは世界に冠たる「食器街」であって、世界中から洋食器が集まり(巨大コックさんで有名なニイミも、もちろんここ)、和食器が集まり、「うまいラーメン」などの幟があり、メニュー立てや電飾看板があり、食品サンプルがある。

 つまり「これから飲食店を開こう」「自分の店を持とう」という人のために何でもそろうのが、この町である。

 素人から見ると「うわー、この看板、この食器、この調理服、みんなここで売ってたんだ」と思う。なかなか楽しい。

 で、その合羽橋を過ぎると、すぐに雷門だ。

浅草はお正月の準備に大忙し!

「歳末と言えば上野アメ横」という感じは確かにする。

 では、浅草は?

 歳末の上野に比して、浅草のイメージは新年だ。雷門の先、仲見世、浅草寺と続くこの場は、12月の今だってたくさんの人を集めているけど、やはりイメージとしては初詣ではあるまいか。浅草自体になにかおめでたい雰囲気もあるものね。

 で、その正月客を集めるために、地元商店街は準備に余念がない。

 特に浅草寺そばの伝法院通りの周辺は、今まさに街をあげての大掃除中で、大きな放水機を入れ、街ごと水洗いしていた。すごいね、この通り全体にコミュニティが成り立っていないと、なかなかできないことだ。

 この伝法院通りの付近には、安い古着屋(お洒落系の古着じゃなくて、中古としてのホンモノの古着)と、安い居酒屋(店の周りをビニールで覆う、屋台と店舗の中間系)が軒を並べてみっしりと立ち並ぶ。

 誰にとっても「一番浅草らしい浅草」という気がするんだけど、いやまー、いまだに昭和。いや、いまだに「戦後」ですらあるね。

 それにしても私は前々から不思議なんだが、東京にやってきた外国人観光客に、なぜ浅草ばかりをお見せせねばならんのだろうか。

 いやま、浅草も悪くはないが、浅草以外だって色々あるだろうと思うのだ。もちろん分かってる。この街こそが、一番、江戸情緒を色濃く残してる。だからこそJAPANオリジナルが多数残る街、浅草だ。

 しかし、それは同時に「ちょっとビンボー臭い感じもする街」を、海外からのお客さんにあますことなくお見せすることを指している。あまつさえ、ここの土産物屋には外国人向けの「カンチガイ和服」やら、「カミカゼ鉢巻き」やら、「忍者コスチューム」やら、とにかくトンデモないものばかりが溢れているのだ。

 おまけに大通りに出ると、そこにあるのは数限りない「観光用人力車」だ。

 当然ながら、外国人の方々は無邪気に喜び、オー、ワンダフル! サムライどこですか? 人力車に乗って会いに行くのですか? あの浅草寺がハラキリ舞台ですか? なんてことになり、写真バーチバチ撮り、やがてお国に帰ると、エキゾティック、ジャパーンは、ほーら、この写真通り、ゲイーシャ、ハラキーリ、人力車、アンビリーバボー、ということになるという寸法だ。

 ほんと、良いことなのやら、悪いことなのやら、まったくワカラン。日本イメージにとっては、ま、ビミョーなところだ。

【次ページ】 プロの世界の靴製造地帯を通ると感謝の念が。

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