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バルサとレアルの最大の敵はケガ!?
リーガで故障者続出の原因を検証。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byMutsu Kawamori
posted2011/11/16 10:30
その速すぎるスピードの故か、メッシには大腿筋をはじめとして多くの怪我がついてまわっていた。世界最先端の戦術を披露するバルサには、スポーツ医療の分野でも革新性を見せてもらいたい
今シーズンの序盤は故障が目につく。
バルセロナやレアル・マドリー、ビジャレアル、ビルバオなどは開幕から2カ月半で各チーム2桁にのぼるケガ人を出している。
この数字はスウェーデンのリンショーピング大学教授で、UEFA医事委員会の副会長を務めるヤン・エクストランド医師らが過去に行なった調査と比べると少々多い。
エクストランド医師たちは2001年から2008年まで、UEFAが選んだ23チームを対象に、負傷の回数を数えた。そのレポートによると、ケガは練習と試合を合わせた56万6000時間に4483件発生している。試合のスケジュールにもよるが、だいたい3カ月から3カ月半で8件という計算だ。
一方で、選手25人を抱えるチームが年間に負うケガの回数は約50回(1選手で2回ずつ)というデータもあり、この数は年によって大きく変わることはないという。そうすると、これらシーズン序盤戦で故障者の人数がすでに25人のうち10人を超えている(ケガの回数は20回以上ということになる)ような4チームはシーズン後半戦はやや安心できるといえるのかもしれない。
ただし、それはあくまで総数の話。ビジャレアルもビルバオも、ケガが重なるという不運にも見舞われ、10月末、前者はフィールドプレーヤーが13人しかいなくなるという憂き目に遭った。後者は同じ頃、戦力外の者も含めて故障者リストに10人の名前を書き込まねばならなくなった。こうなっては呑気に構えているわけにもいかない。
バルサで伝染病のように発生しているハムストリングの故障。
もうひとつ心配な事態はバルサで伝染病のように発生している大腿二頭筋の故障だ。
筋肉のケガが多いこと、また大腿二頭筋を含むハムストリングのケガが多いこと自体はおかしなことではない。
エクストランド医師は2001年から2009年にかけて故障のタイプについても調査を行なっており、対象となった2908件のケガのうち31%は筋肉に関するものだった。また、そのうちの37%は大腿二頭筋を含むハムストリング、23%は内転筋、19%は大腿四頭筋、13%はひらめ筋のケガだった。現にマドリーでは今季9件の筋肉故障が発生しており、うち3件はハムストリング、別の3件は内転筋、2件はひらめ筋が故障個所である。