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フィギュア採点問題で考えた、
プロ野球におけるカッコ悪さって? 

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田端到

田端到Itaru Tabata

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photograph byTakuya Sugiyama/Hideki Sugiyama

posted2010/03/16 10:30

フィギュア採点問題で考えた、プロ野球におけるカッコ悪さって?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/Hideki Sugiyama

昨年は3勝10敗と大きく負け越した福原。ちなみに故意四球の判定は、キャッチャーが立ちあがって“4球目”となるボールを投手が意識して投げた場合に出る

安全策を選んだのに致命傷を負った日本ハムと楽天。

 楽天も、日本ハムも、目の前の難敵を避けて敬遠。次打者との勝負を選んだ。

 その結果、どうなったか。第1戦、鉄平を敬遠した日本ハムは、山崎武に走者一掃の二塁打を打たれ、決定的な3点を献上した。第2戦、稲葉を敬遠した楽天も、やはり高橋に2点タイムリーを打たれて敗れた。

 つまり“カッコは良くないけど勝つ確率の高い戦術”を選択した上に、それがもろくも失敗に終わってしまったわけだ。3回転ジャンプを回避して、安全策の2回転を選んだのに、その2回転ジャンプを失敗してしまいました、みたいな話である。

もう8年近くも故意四球無しの記録を持つ投手も!

 私は敬遠が嫌いだ。洗面器いっぱいのヘドが出るほど嫌悪しているし、プロ野球人気凋落の理由のひとつだとさえ思っている。

 敬遠は、たいてい最高の場面で用いられる。接戦の展開で、塁上を走者がにぎわし、打席に最高のバッターを迎えるという、野球の醍醐味とも言える場面で、この「勝つために逃げるカッコ悪い戦術」は当たり前に使われる。

 かつて上原浩治(現オリオールズ)は、ベンチの敬遠の指示に、涙を流して無念を表明した。

 福原忍(阪神)のように、もう8年近く「故意四球なし」の記録を続けている投手もいる。

 星稜高校時代の松井秀喜(現エンゼルス)を5打席連続敬遠した相手の高校は、地元の応援団からもそっぽを向かれ、校歌斉唱をブーイングで消され、日本中からバッシングを受けた。

 敬遠は、野球の最高の場面を台無しにする上に、現場でプレーしている誇り高き選手たちの魂までも否定する。戦士が胸を張れない戦術に、優れた戦術などあるはずがないと思う。

プライドなき敬遠を否定する秋山、岡田の両監督。

 昨年、与えた故意四球がもっとも少なかったチームは秋山幸二監督のソフトバンクで、6個だった。チームのシーズン与故意四球がひと桁だったのは、'05年の伊東西武以来という希少さ。さすが現役時代にスラッガーだった秋山監督、敬遠は嫌いなのだろう。

 ちなみにセ・リーグでは、岡田彰布監督1年目の'04年阪神が、シーズン与故意四球4個という傑出して少ない数字を残している。今季からオリックスの指揮を執る岡田監督も、敬遠は好きじゃない派のはずである。

 たとえルール上は問題がなくても、カッコよくない野球、つまらない戦術は存在する。勝ちにこだわることを優先するあまり、高みを目指す精神がないがしろにされるようなことがあってはならない。そう願う。

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