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プロで活躍したいなら“東都”!?
甲子園のヒーローはどこへ行く。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/09/05 12:05

プロで活躍したいなら“東都”!?甲子園のヒーローはどこへ行く。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

第93回全国高校野球選手権で優勝した日大三のエース・吉永健太朗は早大への進学が決定している。「プロ志望届は出しません。進学して4年間しっかりやって即戦力でプロに行きます」

入れ替え戦と優勝のために必死でプレーする東都リーグ。

 数年前、甲子園で優勝したチームのキャプテンを務め、東京六大学でプレーすることを希望していたある選手は、両リーグの試合を観戦し、最終的には東都の野球を選んだ。その理由をこう話す。

「六大学の試合をみたら、すごいダラダラしてるんです。攻守交代の時に選手がちんたら歩いていたり。でも東都の選手は一塁までもヘッドスライディングをしていた。それを見て、東都の野球の方が今までやってきた野球に近いと思ったんです」

 2部の上位チームも含め10チームほどが拮抗している東都では、優勝したチームが翌季、最下位に沈み入れ替え戦に回るというようなケースも少なくない。どのチームもシーズン前半は、優勝を目指すというよりは、まずは入れ替え戦を回避するために勝ち点2(2チームから勝ち越す)を獲得することに全力を注ぐ。そして、それをクリアすると、今度は優勝のために負けられない試合が続く。そのため、リーグ戦でありながら、常にトーナメントのような必死さがあるのだ。

 また、昔のパ・リーグの選手がセ・リーグの選手に対して反骨心を抱いていたのと同じように、東都の選手も「六大学のやつらにだけは負けたくない」と対抗心を剥き出しにする。そのハングリーさが、プロに入った後も大きな武器になる。

「東都だったら、斎藤をあんなに簡単には勝たせないのに」

 日本ハムの斎藤佑樹が早大でプレーしていた頃、もし斎藤が東都で戦っていたら、どんな選手になっていたのだろうと夢想することがよくあった。

 その頃、東都の関係者はよく言っていたものだ。

「東都だったら、斎藤をあんなに簡単には勝たせないのに」

 異論はなかった。そして、そのぶん斎藤も、もっと成長できたのではないのかと思うのだ。

 もちろん、向き不向きもある。六大学のように大らかなリーグの方が性格的に合う選手もいることだろう。そういう選手は、東都に入ってしまうと逆に押しつぶされかねない。

 斎藤も、実のところ、六大学のような自由な空気の中にいた方が伸びるタイプなのではないかとも思うのだ。

【次ページ】 今季は優勝校・日大三の選手たちがプロへ行かない!?

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