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バドミントン世界選手権で銅獲得!
不仲の“スエマエ”が深めた結束力。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byPress Association/AFLO
posted2011/08/31 10:30
現在、世界ランク2位の末綱聡子(右)と前田美順コンビ。日本バドミントン史上初の五輪メダルを目指す
最大のライバル、中国勢を倒すために戦い方を一新。
試合後、末綱は「ありがとう、ありがとう」と前田に声をかけた。
「先輩のおかげなのに、何度もありがとうって言ってくれました」
前田は目を赤くして、そう語った。
これが転機となった。
「ロンドンへ」と結束した2人は、バドミントンで頂点に立つ中国を倒すため、研究と練習を続けてきた。それでも何度も跳ね返された。その中で、戦い方の一新を図った。
もともとは、相手のショットを拾って粘り、その中で相手の乱れなどから勝機を見いだすスタイル。だが粘るだけでは勝てないと、前衛の前田の攻撃力を生かすスタイルを志向してきた。相手のスマッシュを予測し、ネット際で前田が打ち返すというものだ。
敗れはしたが「中国は怖くない」と末綱は頼もしい。
成果が試される準決勝で、やはり中国のペアには勝てなかった。
だが、末綱は言う。
「中国は怖くありませんでした。手ごたえは感じています」
前田も決意を新たにする。
「ロンドンではメダルを」
かつて、意思疎通がうまくいかず、低迷していた頃。そして世界ランク2位にまで浮上した今日。そんな2人を見て、あらためて思う。
強烈な個性と個性が出会えば、和は乱れるかもしれない。チームワークには不向きかもしれない。しかし、それを乗り越えたときには、強烈であるからこそ、大きな力を発揮することができる。
日本のバドミントンは、まだオリンピックでのメダルがない。
来年、2人は、歴史を塗り替えるかもしれない。そんな期待が高まってくる。