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チームの危機をチャンスに
変える男、今浪隆博。
~田中賢介に代わる選手になるか?~
text by
永谷脩Osamu Nagatani
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/14 06:00
6月26日のソフトバンク戦では打球を好捕し、二塁へトス。守備でもチームに貢献している
12球団で一番の二塁手といえば、走攻守の三拍子が揃った日ハムの田中賢介を挙げることができる。その田中が、6月18日の走塁の際に左足首を骨折。今季絶望であることが判明した時、戦力ダウンと嘆くより、控えが育ってくることを願う人がいた。日ハム編成部門の責任者・山田正雄GMである。「若手がチャンスを掴むいい機会だ」というのだ。その若手とは、5年目の今浪隆博だ。
プロスカウトの世界では、高卒なら5年、大学卒は3年でものにならなければ、次の道を探してやるべきだと言われている。8つしかない野手のポジション。うち2つは外国人で埋まる日本のチーム編成の中で、レギュラーを掴むのは至難の業だ。5年前の田中は、正二塁手のケガを機会にレギュラーの座を掴んだ。当時の日ハムの二塁手は木元邦之。それまで3年連続で100試合以上に出場、定位置を掴みつつあった木元は腰痛という持病を抱えていた。そのとき、綺羅星のごとく田中が登場。巧打で'06年のリーグ優勝、日本一にも貢献した。当時のヒルマン監督は、犠牲バントの成功率が高い田中を「チームプレーのできる選手だ」と高く評価した。一方の木元は、'07年シーズン途中でオリックスにトレードとなり、'09年引退を余儀なくされた。